BRさん

題名:「あんなに一緒だったのに」

最終話「君の姿は僕に似ている」

『勝ったのは流璃子の方でしたか。
ハルパスのような下等な者とつがいにさせるのも面白いと思ったのですが、
まあ、それなりに得られるものもあったので良しとしましょう。』
ベルゼバブは2人の対決とその結末を満足げに眺めていたが、
流璃子の体から熱気と共に瘴気が立ち昇り、
弛緩したカラダを淫らに飾る小道具の色が黒から純白へと変わるのを見て、
表情を僅かに曇らせる。
『いくら力を使い果たしたとは言え、もうゴッドサイドへ転化するとは。
智子との接触によりゴッドサイダーとしての力を取り戻し始めたのか?
結論を出すのは早計だが、今日はこれ位でやめておくのが得策のようですね。』
ベルゼバブが流璃子の前に片膝を突き、呼吸と共に上下するその肩に手を当てると、
流璃子は魚のように体をビクつかせ情けない悲鳴を上げた。
「ヒッヒゥゥゥ! お願いします。ベルゼバブ様。今は触れないで下さい。アフゥゥ!」
「貴方がこの私に指図するとは随分偉くなったものですね。」
「いえ、違います。お許し下さい。ベルゼバブ様。そんなつもりではないのです。
でも、本当に今はダメなんです! ハゥゥ~~。」
智子程ではないが2つのアクメを感じた流璃子のカラダは
僅かな刺激にも過敏に反応してしまうのだが、
ベルゼバブはまるで気に掛けず、手を流璃子の脇に入れて上半身を引き起こし、
更に張型を秘芯に残したまま智子と離れさせた流璃子の体を抱き、
先程まで臥していた場所に顔を向けさせる。
「ひっ! いやっ!」
そこには、全身から湯気を立たせて、
だらしなく足と女の口を開かせる智子の無惨な姿があった。
緩み切った花の肉はぽっかりと空洞を作り、
やらしくヒクつきながら愛液と擬似精液が混じった濁り汁を垂れ落とさせている。
あまりの光景に流璃子は顔を背けるのだが、すぐに再び智子の方へ戻されてしまう。
「ホホホホ! 目を逸らしてはダメですよ。流璃子さん。
これは貴方が自らの手でやったことなのですから、しっかりとご覧なさい。」
いくら自分が打ち負かした相手の姿とはいえ、
ベルゼバブに吸入された瘴気が薄れ、本来の気質に戻りかけている流璃子にとって、
その様は衝撃であり、ただ言葉を失って表情を凍りつかせる。
「弥勒菩薩の化身といえども、やはり魔王様のご息女というところですか。
仇なす者には容赦がありせんね。」
「違う... 私は... 私はこんなこと...」
流璃子達の会話はもとより自分の状態さえも理解出来ているのか伺い知れないが、
僅かに意識を残していることが智子をより一層哀れに映らせて、
流璃子の心が悔恨に満たされていく。
「敵をこのようにしたことを悪魔の姫として誇って頂きたいのですが、
まあ、確かにこれは見目の良いものではないので、素直に喜びづらいかもしれませんね。
しかし、なんとまあ、弱き人間を救うと言われている
弥勒菩薩を守護神に持つゴッドサイダーが見っとも無い姿だこと。
そう言えば、以前、私が貴方をふたなりに変えて遊んで差し上げた時も
こんな感じでしたよ。今度、写真を見せてあげますよ。ホホホホホ...」
『そ、そんな... 私はあの時...』
気をやったのと同時に意識も失ってしまったため知る事が出来なったのだが、
かつて自分が晒した醜態を智子という実例を通して教えられ、
流璃子は心の中を惨めさで一杯にされてしまう。
2人のゴッドサイダーに敗北を与えたベルゼバブは流璃子を残し、
悠然と立ち上がって智子の傍へ移動し、手のひらを智子の頭に向ける。
「そろそろ、ルールに従い敗者には罰を受けて貰いましょうかね。
最後にしっかりと愛しい夫の顔を思い出しておきなさい。」
虚実の間を彷徨う智子へ、そう告げたのを合図に、
智子の頭から蛍のような光の粒子が次々に放出され、ベルゼバブの手の前に集まっていく。
「いやぁ! だめ盗らないでっ! 霊輝との思い出を盗らないでぇ!」
脳の中を強引に侵食されていく激痛に、そして、それ以上に目を瞑れば
いつでも見ることの出来た霊輝の姿に靄がかかって遠ざかっていくことに、
智子は朦朧となっていた意識を戻し、全身を痙攣させて苦しみ悶えた。
肉体の限界を超えてなされる智子の懇願にもベルゼバブは眉1つも動かさずに、
記憶の蹂躙を続ける。
「ダメェ! 行かないで! 霊輝ぃ! あああ! もぅ!
霊輝が行っちゃう! 霊輝が消えちゃうぅ! 霊輝がぁぁ! いやぁぁぁあああ!」
最早、どんなに思い描こうとしても霊輝の顔が智子の頭の中に現れなかった。
智子の人生から霊輝の存在自体をなかったことにされてしまったのである。
智子は何を奪われて悲しんでいるのかさえ理解できず、
ただ途方のない心の苦しみに絶叫を上げて、そのまま失神してしまう。

「辛うじて生きているみたいですが、しかし、何とも情けないものですね。」
全身の筋肉が役目を失い、まるで床にこびり付くかのように倒れ臥す智子を、
ベルゼバブが冷ややかに見下ろし、だらしなく晒す大きなその尻の肉を踏み潰すと、
恥ずかしい黄金の液体が体外に溢れ始める。
「ホホホ、穢わらしい。所詮は悪魔の血を持たない代役風情が、
魔王様のご子息に手を出すからこうなるのですよ。
どうです? 貴方もそう思いませんか、流璃子さん?」
ベルゼバブは智子から奪い集めた光の球を手に口元を緩めて再び流璃子に近づく。
「あの下賎な女から奪ったこれ、勝利の祝いとして貴方にプレゼントしますよ。」
その光の玉を額に当てられると、そこから智子の記憶が流璃子の中へ流れ込んでくる。
「ひやぁぁぁぁぁぁ! こんなの知りたくない! 知りたくないぃぃぃ!」
拒否権は与えられず無遠慮に脳を侵略していく智子の経験は、
ただのデータとしての思い出話ではなく、
その時智子の心と五感が知り得たものが1つ残さず全て詰まっていた。
自分のこと以上に大切に思う人が他の女性に優しく微笑み、深く愛し合う証拠の数々は
流璃子にとって何よりも耐え難い拷問であり、
その苦しみに頭を両手で押さえ、激しく悲鳴を上げた。

「ホホホホホ! 流璃子さん、そんなに体を震わせて、
そんなに霊気さんとの甘い生活が感動的だったのですか?」
智子の記憶を移された流璃子は愛しい人と体を合わせる悦びを、
そう、その肌の温もりや耳に掛かる吐息の感触さえも知ることになるのだが、
しかし、その愛を実際に与えられたのは自分でない別の女であり、
また、自分は知る機会すらなかったという事実を更に痛感する結果しか生まなかった。
流璃子はふらふらと腰を浮かせて智子へにじり寄り、気絶したままの体を仰向けにさせる。
「この女が... この体が霊気と......  ゆるせない...」
そして、うわ言のようにそう呟くと、硬さは大分失われているが、
智子の股間で頭を持ち上げたままの男根を掴み、自らの秘苑へ導き入れた。
「全身の液体という液体を搾り出して上げる。」
騎乗位になって激しく責め立てる流璃子の腰使いに智子の体は波打ち、
気絶の淵にある顔に苦悶を張り付かせて涎や涙を溢れさせる。
「ウフフフフ、そうよ。もっとよ。もっと恥ずかしいものを吐き出しなさい。」
流璃子は智子を更に辱めるため、強度を保てていない陰茎を女の壷できつく締め上げ、
腰をただ振るだけでなく淫らにくねらせていく。
流璃子自らが進んで他者を痛めつけるこの行動に、
ベルゼバブは満足気であったが、同時に心の奥で不安を駆り立たせるものを感じる。
『このままでは、私が掛けた禁術が流璃子の神側の力で解けてしまうかもしれませんね。
まさか、流璃子はそれを分かっていて...。
しかし、あの顔は嫉妬に狂った女そのもの、とても演技しているように見えない。
どのみち、こいつらは自力でこの牢から出ることさえ出来ないのですから、
例え、何か策があったとしても、この私が気にする必要もありませんか。』
ベルゼバブは僅かな逡巡のあと、女の身でありながら智子を強姦する流璃子に背を向けて、
牢の出入り口へと歩いていく。
「聞こえているか分かりませんが、まだ、その女で遊ぶ予定なので、
出来れば殺さないようにして下さいね。それじゃあ流璃子さん、ごゆっくり。」

ベルゼバブの姿が重い扉の反対側に消えると、
流璃子は上半身を倒して智子に体を覆い被せ、小さい声で智子に謝罪の言葉を語り始めた。
「ごめんなさい。智子さん。
処刑の執行日時まで決まっていた貴方を助けるにはこうするしかなかったの。
でも、これで私が智子さんを恨んでいる振りを続ける限り、
私を苦しめることに悦楽を感じるあの悪魔は貴方の命を奪うことはないわ。」
むろん、気を失ったままの智子にそれが届くはずなかったがそれでも、
流璃子は言わずにはいられなかった。
「忌々しくもふたなりに変えられてしまったこの肉体も必ず直すから、
お願い、もう暫く我慢して。ベルゼバブのこの術を破るには、
神側の気を当てながら精液と共に瘴気を全て吐き出させるしかいないの。」
流璃子は自分の肉体も限界であるのに、智子の心臓に近い左胸へ手を当てて生気を送り、
まるで犬の母親が産まれたばかりの我が子の気をつかせるように顔を舐めながら、
聖なるオーラを集めた秘芯で智子の陰茎に熱い刺激を与え続けた。
「同じ魂を持っており、例え性格や容姿が似ていたとしても、
私の想う霊気と貴方の霊輝さんは別の人であることを本当は分かっているの。
それでも、もう1度、あの人に会いたかった。
そんな私の情けない未練が智子さんをこんな目に合わせてしまったのかもしれない。
本当にごめんなさい。私は貴方に取り返しのつかないことをしてしまった。
せめて、私に移された記憶だけでも...」
流璃子は大きく開けた智子の口に唇を重ね、そこから智子の記憶を返した。
「記憶を戻したことを知られないよう今は封印したままだけど、
霊輝さんに会えば、その封印が解けて全てを思い出すようになるから安心して。」
ベルゼバブの力によって作られた足首のベルトを残し、
智子の体に着けられた赤いハイヒールやバンド、
そして、流璃子の体を飾る純白の小道具の数々が透けるように消え失せていく。
それは流璃子の力が弱まり無くなっていることを意味していた。
「私も...もぅ...  でも、まだ気を失う訳にはいかない。
貴方の体を直すまでは何としても堪え抜いてみせる。」
流璃子を動かすのは贖罪の気持ちと智子を霊輝の元へ返したいという願いだった。
「ハァ ハァ ハァァ んんん... お願い早く... んふぅぅぅ あっぁぁぁぁぁ...」
その頑張りが実となって、
流璃子のナカに果てた秘棒が物質としての存在を無くして消えていくのを確認すると、
安堵に気が抜け、流璃子は熱が篭った体を智子の上に崩れ落とす。
「智子さん、ごめんなさい。私も力を使い果たして、もう動けないの。
お願い、このまま少し休ませて。でも、本当に良かった。貴方の体を元に戻せて。」
流璃子の目の前に靄がかかり、意識が闇に沈んでいく。
そして、2人の美女はまるで愛し合う恋人同士のように裸身を重ねて、
静かになった石牢で眠り続けた。

『私は貴方にこんなお願いが出来るような立場じゃないことは分かっている。
でも、貴方にしか頼めないの。私の代わりに霊気の魂を持つ霊輝さんを助けてあげて。
そして、私の分まで霊輝さんを愛してあげて。お願い』

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