題名:ゴッドサイダー アナザーストーリー『神の血』

『神の血』

 この世界は、唯一無二のものではなく、いくつもの次元が同時に成立している並行世界であるという。
 未来というものは、ふとしたきっかけでたやすく変化する危うげなものなのだ。
 これは、そんなふとしたきっかけで誕生した、別世界の物語である......。



 突如、東京上空に出現した「バビロンの空中庭園」
 霊気が登り消えていった螺旋階段を、流璃子は心配そうに見つめていた。
 その中は霧で満たされ、中をうかがうこともできない。
「霊気は、大丈夫かしら......」
 流璃子は振り返ることもなく、背後の阿太羅に問いかける。
「あ......、あぁ、ヤツなら心配いらないさ......」
 阿太羅は答えた。だが、流璃子は気づいていなかった。
 その声が多少上ずっていたことに、そして、その視線が先ほどから自分の身体に注がれていたことに......。

 

「ん......?」
 その視線に気がついたのは、最深部で様子を見ていた空中庭園の主-パズス-であった。
 そこには、螺旋階段で霊気と相対している彊良以外のパズス教団の最高幹部たちが勢ぞろいしていた。
「よォ、鶚。おまえが流璃子をブッ殺そうとした時、阿太羅が助けに来たって言ってたな」
 主-パズス-の問いに鶚が答える。
「え、ええ、そうです。しかしあの時、阿太羅の邪魔さえなければ......」
「あーあー、それさえ聞ければそれでいいんだよ。そうか、単身パズス教団に乗り込んだ戦友の援護じゃなく、その恋人の救助にねぇ......」
 ニヤニヤと笑みを浮かべるパズスの真意を測りかね、山揮が声を上げる。
「どういうことです、パズス様。阿太羅が流璃子を助けたからってなんだってんです」
「相変わらず貴様はにぶい男だな、山揮。パズス様はこう仰りたいのだ、阿太羅は流璃子に気があるんじゃないか......とな」
「な、なんだと!?」
 鳴蛇の言葉に一同が騒然とする、当のパズスを除いて。
「ゲッゲッゲ、いい勘してるぜぇ、鳴蛇」
 うれしそうにパズスが声を上げる。
「し、しかし、阿太羅は禁欲を旨とする僧侶の身、さらに奴はゴッドサイダーの中でも特に義理に厚い男......」
 思わず声を上げる烏慶、それを遮るようにパズスが言葉を発する。
「ゲッゲッゲ、この世にゃエロ坊主って言葉もあるぜぇ。それによ、阿太羅の守護神が誰だか知らねぇわけでもあるめぇ?」
「は......? ええ、たしか帝釈天。世に比類なき武神、帝釈天だったかと」
 烏慶が記憶をめぐる様に言葉を続ける。
「そうよ、その帝釈天、戦場じゃたしかに勇猛果敢な武神だったらしいがよ、それ以外だとどうしようもないヤツだったんだぜ」
「と、言われますと......?」
 その場にいる皆が、身を乗り出すようにパズスの言葉の続きを待った。
「当時、天界にゃ舎脂っていうそりゃあ美しい娘がいたんだ。こいつは阿修羅の娘だったんだがよ、その美しさに目を付けた帝釈天は、
 自分の宮殿に連れ去り、無理やり犯しちまったんだよ。力づくでな。ゲッゲッゲー! まるでデビルサイダーだぜ!」
「な......、なんと......」
 唖然とする一同、さらにパズスは言葉を続ける。
「しかもよ、怒りのあまり軍を上げた阿修羅一族を、その持ち前の武力で返り討ちにしちまったってんだ。正義も何もあったもんじゃねぇな! 
 ゲーッゲッゲッゲ!」
 パズスの狂喜の声が響き渡る。
「もう分ったろうが、あの阿太羅にゃ、その帝釈天の血が流れてんだ。目の前に極上の女が半裸でいて、放っとけるわけねぇんだ!」
 そう言いながら、パズスは鳴蛇に目配せを送る。
「だが......、今のままじゃ人間の良心とかっていうクソみてぇなもんが、邪魔してやがる。そこでだ......」
「シュシュシュ......、お任せ下さい、パズス様。そのゴミクズ同然の良心とやら、オレの毒で腐り溶かしてくれましょう......。
 それよりも、先ほどの話が事実であるのならば......」
 そう言って、鳴蛇がパズスに耳打ちをする。
「なに? そうか、そうか。ゲッゲッゲー! 流石だな、鳴蛇。オレはおまえのそういう所がお気に入りなんだよ、ゲッゲッゲ!」
 パズスの顔に、この上なく邪悪な笑みが浮かんでいた......。

 

 空中庭園へと続く螺旋階段の入口で、流璃子と阿太羅は佇んでいた。
 彼らは気づいていなかった。螺旋階段から漂う霧が、自分たちの身に及んでいることを。そして、その霧に怪しげな臭気が混じっていたことを。
 阿太羅は、自らの鼓動が早くなり、手に汗がにじむのを感じていた。
 しかし、それを霧に混じる毒のせいだとは気づかず、流璃子とともにいるせいだと思っていたのだ。
 パズスの推察は、まさに正鵠を射ていた。阿太羅の流璃子に対する感情は、好意以上ものであった。
 それはもはや恋慕と呼ぶべきものだったかもしれない。

 阿太羅が流璃子を初めて目にしたのは、マリガンとジェミニーの結婚式の際だった。
 それ以前にも、グランドキャニオンの入口でベルゼバブに抱かれた流璃子の姿を見たことはあった。
 だが、それはあくまでもベルゼバブの蝿たちが集まって形作った幻影であり、実物の流璃子ではなかった。
 それでもなお、阿太羅はその時の流璃子の肢体に、目を奪われていたのだが。
 また、迷路帝都(ラビリントス)の地下で、霊気が流璃子を救った際にもそばにいたのだが、
その時はベルゼバブにより両目をえぐり抜かれていたため、流璃子の姿を見ることはかなわなかった。
 初めて目にする本物の流璃子は、清楚可憐な乙女という言葉がよく似合う絶世の美少女であった。
 生気に満ち溢れ、みずみずしい輝きを放っているように阿太羅には感じられた。
 阿太羅が見惚れたのも無理からぬことといえるだろう。
 だが、その後に法粛と交わした会話が、より一層流璃子への想いを強めることとなる。
「法粛、流璃子さんは、実に美しいひとだな」
「ああ、同感だ。それにしても、元気になったよかったよなぁ。迷路帝都の地下で会った頃は、半死半生だったからな」
「そ......、そうらしいな......」
 阿太羅は、自分は見てないともいえず、適当に相槌を返す。
「でも......、元気になった今だから言えることだが、あの時の流璃子は、艶めかしくも美しかったなぁ......。
 アイアンヘラーに捕われ苦痛に喘ぐ表情といい、 そのアイアンヘラーがはじけ飛んだときに、
 露わになった乳房の形といい......。ある意味、美の完成形だったよな、あれは」
 思いだすかのように、締りのない笑みを浮かべる法粛。
(オ、オレは見ていない......)
 人は、未知なるものに対して、恐れを抱き、憧れを抱くもの。
 そして他人が知り、自らは知り得ないものに対して、大いなる渇望を抱くものなのだ。
 阿太羅の流璃子への想いは日増しに積っていく。普段は、修行の中で忘れようとしていても、それは彼の心を捉えて離しはしなかった。
 だからこそ、パズスが指摘するように、霊気ではなく流璃子のもとへと駆けつけることとなったのだ。

 そして今、その想い続けていた相手が目の前にいた。
 それも腰や足に申し訳程度に薄絹をまとっただけの、半裸と呼ぶにはあまりにも露出の多い恰好でである。
(ほ......欲しい......。流璃子が......)
 普段の阿太羅であれば考えもつかないような邪まな思いが胸をよぎる。そう、少しずつ、霧に紛れた鳴蛇の毒が、阿太羅の心を蝕みつつあった。
 あと、ほんのひと押しで、あえなく決壊しかねないほどに......。

 その阿太羅の眼の前の流璃子も、自らの身体の変調を感じ取っていた。しだいに呼吸が早くなり、身体が熱くなっていく。
 人の良心を腐り溶かすという鳴蛇の毒、それは同時に人の心に邪心を芽生えさせ、淫らな感情を抱かせる催淫効果を持っていた。
(こんなときに、わたしは、何を考えているの......)
 流璃子は自らを戒め、自分の内に沸き起こる身体の火照りを、淫らな思いを抑えようとした。
 だが、それは余りに空しい抵抗であった、次第に濃度を増していく鳴蛇の毒は、それに比例して効果も強くなっていく。
 さらに流璃子は、長らく肉体的に満たされることのない生活を送っていた。
 たしかに霊気とは、恋人として一緒に暮らしていたものの、彼は流璃子の身体を求めることはしなかった。
 それは霊気なりの優しさだったのかもしれない。かつてデビルサイダー達に凌辱された流璃子に対して、
その身体を求めることは、彼女の忌まわしい記憶を呼び起こすことになるかもしれない、と。
 だが同じように身体を求める行為であったとしても、欲望のままに女を犯すことと、
愛情を持って女性を抱くこととは決定的に違う。霊気にはそれが理解できていない。
 結果、流璃子は愛しい恋人と共にいても、その身が満たされることはなく、持て余す日々が続いていたのだ。
(わたしから、霊気を誘えばよかったの......? そうすれば霊気も......。でも、そんなこと......)
 思えば思うほど、霧に溶けた毒は身体を蝕み、流璃子の身体を熱くさせる。
「ア......」
 流璃子は、思わず声を漏らす。
 乳首は固くなり始め、ピンと屹立していた。そして、股間がじわりと熱くなっていくのを感じる。
(ダメよ......、あぁ......。我慢しなきゃ、ダメ......)
 今の流璃子は、感情の波に押し流されそうになるのを、かろうじて踏みとどまっているような状態だった。
 自分のすぐ背後には阿太羅がいるのだ。それに気づいた途端、流璃子はドキリとした。
(ま、まさか......、わたしが身悶えているのを、阿太羅さんに気づかれているんじゃ......)
 そういえば阿太羅は先ほどから一言も発していない。自分の状態に気づいて、声をかけるにかけれなくなっているとしたら......。
 そう思うと、流璃子の頬はみるみる紅潮していく。
「阿太羅さ......」
 流璃子は様子を確かめるために、顔だけ後ろに向けて阿太羅に視線を送った。
 そして、その行為こそが、阿太羅の行動を押しとどめていた最後の砦を、あえなく決壊させるひと押しとなったのだった。
 振り向いた流璃子は、瞳を潤ませ、頬を赤らめ、そして切なげな声で自分の名を呼んだ。
 その瞬間、阿太羅は自らの血が逆流した様な感覚を味わった、そして身体が反射的に動いていた。

 気づけば、阿太羅は流璃子を背後から抱き締めていた!
(えッ......!?)
 流璃子は、何が起きたか理解できずに、抱き締められるがままになっている。
 そして、阿太羅もまた自分の行動が理解できていなかった。
(オ、オレは、一体なにをやっているんだ......? 流璃子は霊気の恋人なんだぞ、それに、今はこんなことしている場合では......)
 阿太羅は、心の中で困惑しつつ、また自分の行動を否定しつつも、流璃子を抱き締めたまま離そうとしない。
 それは、一度離してしまえば、二度とその腕の中に抱くことはできないであろうことを直感していたからかもしれない。
 間違ったことだと頭の中で理解できてはいても、体はその行為をやめることはできなかったのである。
 そして阿太羅は気づいていない、先ほど感じた血の逆流にも似た感覚、それこそ自らの守護神である帝釈天の血の目覚めであったことを......。
「イ......、イヤ......」
 流璃子はかろうじて声をしぼり出した。しかし、身体はまったく抵抗していない、抵抗しようとすらしていなかった。
 いつもの流璃子であれば、たとえその身を持て余していようと、自らに沸き上がる性欲に流されそうになったとしても、頑として抵抗しただろう。
 それはひとえに愛する霊気への想いの強さからである。
 しかし、流璃子は自分を抱き締める阿太羅の表情を見たときに、抵抗する力を失ってしまった。
 阿太羅の顔に浮かんでいたものは、後悔、焦燥、苦悩......。
 自らの行動が間違っていると知りつつも、なおその行動を止めることのできないことへの弱さ、そして苦しみが浮かんでいたのである。
 悩める者、苦しむ者に、無制限の救いを差し伸べるという弥勒菩薩。
 流璃子の中に流れる、その弥勒菩薩の血が、今の阿太羅を拒絶することを許さなかった。
 なんと皮肉なことであろうか、彼らをゴッドサイダーたらしめ、常に彼らを守り、彼らを助けてきた神々の血。
 その血のせいで、最も信頼する戦友を裏切り、最も愛する恋人を裏切ることになるのだから。
 しかも、それがすべて大神魔王パズスの計略、かの魔神の手のひらの上で踊らされてのことだというのだから......。

 

 阿太羅は流璃子を背後から抱き締めたまま動かなかった、流璃子もまた同様であった。
 深い霧に包まれ、他人からは今の自分たちの姿は見えていないと彼らは考えていたかもしれない。
 だが、その様子は空中庭園最深部のパズスたちには筒抜けだった。
 パズス教団の幹部たちは、その様子がいまだ信じられないといった表情で、食い入るように眺めていた。
 パズスの説明を聞いたうえであっても、なお、阿太羅や流璃子が霊気を裏切るような行為に及ぶとは、考えもつかなかったのである。
 しかし、当のパズスは面白くもなさそうにその様子を眺めている。
「おいおい、こいつらいつまでカメみてぇに固まったままになってんだよ。とっととおっ始めねぇか。
 ぐっちょんぐっちょんの、ドぎついおまんこショーをよぉ」
 そのパズスの下品な言葉に答えるかのように、鳴蛇の声が響く。いま鳴蛇は毒を撒くために、霧に紛れ螺旋階段の入口付近にいたのだ。
『ご心配無用です、パズス様。すでにオレの毒はやつらの心の枷を腐り溶かしております。その証拠に、固まったままに見える奴らですが、
 その体温、特に......、股間のあたりの体温は上昇しっぱなしです。もはや爆発寸前でしょう。シュシュシュ~......』
「ん? あぁ、そうか、蛇は鼻で温度を感じるんだったな。そいつぁ、上出来だ。
 お前もボチボチこっちに戻ってこいや。次の楽しみの準備もあるからよ。ゲッゲッゲッ!」
 再び、パズスに邪悪な笑みが浮かぶ、血も凍るような情のかけらもない笑みが......。

 

 阿太羅が流璃子を抱き締めたまま、しばらくの時が流れた。
 流璃子の温もり、鼓動、吐息......、彼女の存在のすべてを阿太羅は全身で感じていた。そして......。
「アッ......!」
 流璃子が短く声を上げる。
 ついに阿太羅の手が流璃子の乳房に触れた。そして、ゆっくと、愛しむように優しく揉みはじめる。
 女性に全く免疫のない阿太羅ではあったが、すでに目覚めている帝釈天の血が、女性の身体への刺激の与え方を心得ていた。
「ンンッ......、ア、アアッ......」
 阿太羅から刺激を与えられる都度、流璃子が声を上げる。だが、その声は阿太羅の行為を拒絶してはいない。
 阿太羅の手のひらは流璃子の乳房から離れようとしない、そしてその指先が乳首へと到達する。
「アンッ!」
 指先で乳首をつつき、さらに親指と人差し指でつまみあげ、くりくりとこね回す。
 すでに固くなり始めていた乳首は、さらなる刺激を受け固さを増していく。
「ふぅ......ンッ! くぅぅ......ン」
 流璃子の甘い声を聞きながら、阿太羅は存分に乳房を揉み、乳首を弄る。
 阿太羅は流璃子を横から抱き抱えるかのようにして、乳房に顔を近づけ、舌を這わせた。
 円を描くように乳房を舐め、だんだんとその円を小さくしていき、最後に乳首に到達する。
 舌を尖らせ、ちろちろと乳首を舐めた後、おもむろに唇に含みさらに乳首を舐めまわす。
 時に唇をすぼめて乳首に吸いつき、また舌で転がすようにして、流璃子の胸を存分に堪能していた。
「ハァァ......ン!!」
 刺激に耐えかね、流璃子がひと際大きな声を上げた。
 阿太羅はその声に満足しつつも、さらに胸を揉み、舌を這わせる。左腕はしっかりと流璃子の身体を抱いたままだ。
 流璃子は、阿太羅から与えられる刺激に過敏に、そして素直に反応していた。すでに股間の蜜は溢れんばかりである。
 阿太羅もそれを承知していたのか、流璃子の胸を揉んでいた右腕は、流璃子の腹部を撫でつつ、次第に南下していく。
 そして、薄絹に覆われた神秘の股間へと辿り着く......、そこはしっとりと湿り気を帯びていた。
「ア......、ダ、ダメ......」
 流璃子の口から洩れたその言葉は、阿太羅に対してなのか、それとも自分に対してなのか......。
 いずれにせよ、阿太羅は止まらない。止まるつもりもなかった。そして、先ほどのように、流璃子を背後から抱く体勢をとった。
 わずかに股間を覆う薄絹の上から右手の指を這わせ、蜜の湧く神秘の裂け目を刺激する。その割れ目に沿うように指を前後に動かし、
また、割れ目の先にある突起を人差し指と中指で挟み、こね回した。
 同時に左腕は、流璃子の乳房を揉みしだき、絶え間ない刺激を与えていく。存分に乳房の柔らかさを堪能し、
乳首をつまみあげ、指でころがす。執拗なまでに、流璃子の胸をもてあそんだ。
 さらに、流璃子の耳を、頬を、首筋を、丹念に舐めまわし、まるでそのすべてを味わおうとしているかのようであった。
 全身の敏感な場所に刺激を受け、流璃子はすでに快楽の虜と化していた。
 かつて、デビルサイダーによって凌辱され、無理矢理、性の快楽に目覚めさせられ、
それにもかかわらず、その後の刺激のない生活で、身を持て余し、欲求不満状態となっていた流璃子。
そこに、鳴蛇の毒により、邪まな感情を呼び覚まされ、催淫効果まで受けた流璃子。
さらには、阿太羅の身を借りた帝釈天による、執拗なまでの愛撫。これに抵抗するのは、いかな聖人君子とて不可能であっただろう。
「ン......、ンム......ンアァ......」
 気づけば流璃子は、阿太羅に強引に唇を奪われていた。だが、それを拒むようなことはしない、
それどころか口の中へ侵入してくる阿太羅の舌に、積極的に自らの舌を絡めていく。
 ピチャピチャといやらしい音があたりに響く、まるで、淫猥な空気があたり一面に立ち込めているかのようだ。
(アァ......、気持ちいい......。なんて気持ちいいの......)
 流璃子は、快楽に押し流され恍惚となっていた。もはや正常な思考は停止しているに等しい。

 不意に、阿太羅は流璃子の身体からその身を離し、流璃子の背中を抑えつけた。
 流璃子は、阿太羅に押さえつけられるままに、体勢を変え、四つん這いのポーズをとる。
 阿太羅の眼の前には、つんと突き出された流璃子のお尻があった。阿太羅はそのお尻を両手で抱え、顔を埋めていく。
 流璃子の股間はすでにグッショリと濡れており、薄絹は陰部にぴったりと貼りつき、その形をまざまざと見せつける。
 阿太羅が、両手の親指で流璃子の花弁を開くと、そこはヒクヒクと淫らにうごめく。まるで、男を誘うかのように。
 阿太羅は、その誘惑を素直に受けるかのように、薄絹越しに舌を這わせていった。
「ンアァァッ! アッ! アァ......ン!」
 流璃子は誰に憚るともなく、嬌声を上げる。
 その間にも、阿太羅の舌は流璃子の秘部を丁寧に、そして執拗に舐めまわし、その先端にある突起を中心に苛烈な刺激を与えていった。
「アッ! アヒィ......! そこ......ッ、そこ、いいッ! スゴくいいのぉッ!」
 阿太羅は、流璃子の股間に舌を這わせながら、その身を流璃子の足の間からすべり込ませていき、
四つん這いになった流璃子の下に寝そべる様な体勢をとった。
「流璃子......、オレのも......」
 流璃子の眼下には阿太羅の下半身があり、その部分のプロテクターはすでに解除されていた。
 神の鎧が阿太羅の心情を察し消えたのか、それとも、欲望の権化であるいきり立った魔羅を覆うには相応しくないとして消え去ったのか。
 事情はともかく、流璃子の前には限界まで膨張した、猛々しい男根がそそり立っていた。
 その凶悪な逸物も、今の流璃子にとってはこの上なく愛しい存在だった。
(あぁ......、これよ、わたしが欲しかったのは......)
 阿太羅の求めに答えるかのように、流璃子の指が、眼前の男根を握り、またその下の袋を包み込む。
 その刺激に対し、ビクッと肉棒が揺れた。
 ウフ......と流璃子は妖しく微笑み、男根を握った手を上下に揺り動かし、また淫嚢をさわさわと撫でまわす。
「ウ......ッ!」
 阿太羅は短く声を上げ、お返しをするかのように、より執拗に流璃子の股間を刺激した。
 薄絹の上から尖らせた舌で舐めまわし、また、指を薄絹の合間にすべり込ませ、直接女性器へ刺激を与える。
 あふれる愛液で口も指もべとべとになってもなお、阿太羅は流璃子への責めを中断しない。
「アッ! アァン......ッ!」
 流璃子は小さくのけ反り、ビクビクッと身体を揺らす。
 そして、またお返しのように、てらてらと黒光りする眼前の肉棒をねっぷりと舐め上げた。その間も両手による刺激は続けていく。
 亀頭まわりをじっくりと舐めたかと思えば、裏すじから淫嚢までを滑るように舌を這わす。さらに舌に絡めるようにして、口の中へと含んでいく。
 じゅぷっじゅぷっと音を立て、男根を流璃子の唇がスライドしていく。流璃子にとって自ら進んで行うフェラチオなど、初めてのことであったが、
今の流璃子は、眼前のペニスが愛おしくて仕方がない。
(あぁん......、我慢できない......、早くこのおチンポで貫いてほしい......ッ!)
 流璃子の思いに比例するかのように、その動きはどんどん激しくなっていった。
「ウッ......、ウグゥッ!!」
 余りの刺激に耐えかね、阿太羅が呻き声をあげる。ギチギチに膨張した阿太羅の肉棒は、ビクビクと振るえ、今にも爆発寸前だ。
(あぁ......、イキそうなの? いいのよ、イって! あたしのおクチで、イって!)
 流璃子は、阿太羅の絶頂が近いことを感じ取り、それを促すかのように強弱をつけて男根を責め立てた。
「ウッ! ウアァァッ!!」
 口のみならず指先や手のひらで、あらゆる刺激を与えられた阿太羅の逸物は、限界まで張りつめた後、大きく爆ぜた。
 ビュクッ! ビュクッ! ビュルルルルッッ!!
 阿太羅の肉棒の先から、多量の精液が流璃子の口咥内をめがけて射出される。
 そして、阿太羅は無意識のうちに、両手で流璃子の頭を押さえつけていた。
「んむッ!? んんんむぅんッ!!」
 阿太羅に押さえつけられているため、逃げることも出来ず、流璃子はその多量の精液を口で受け止めさせられた。
 普段の禁欲生活で溜まりに溜まった阿太羅の精液、その濃い精液がドクドクと流璃子の口に吐き出されていく。
 同時に、阿太羅の心の中に解放感と達成感、そして言い知れない征服感が拡がっていった。

「げほッげほッ......ンン......、ハァ......」
 流璃子は阿太羅の戒めから解放されると、咥内に溜まった精液を吐き出したが、すでにその半分以上は、既に喉を通りすぎていた。
 そして阿太羅の精をその口で受け止めたという事実は、より流璃子の身体を熱くしていく。
 あれだけの量の精液を射出しても、いまだ鎮まる気配のない阿太羅の男根を目の前にして、身体の疼きは増すばかりだった。
(あぁ......、もうダメ......。犯して......、早く、わたしを......犯してッ!)
 射精したことにより、心に余裕が生まれた阿太羅は、ぷるぷると振るえる流璃子の尻を満足気に眺めていた。
 流璃子の我慢が限界であるのは明白だ。
 阿太羅は、もはや抵抗の証としての意味を失った流璃子の腰布に手をかけた。
「あ......」
 阿太羅が自分の腰布を脱がそうとしていることに気づいた流璃子が短い声を上げる。
 無論、驚きよりも悦びに満ちた声であった。
 阿太羅はシュルシュルとその腰布を解き、流璃子の下半身を完全に露出させた。
 愛液をあふれさせ男の侵入を待つ淫らな花弁が、その目の前に露わになる。
 両手で尻を抱えるようにして、その花弁を開くとムワッとした雌の匂いが漂ってくる。
「あぁッ......、くぅ......ん」
 流璃子が切なげな声を上げ、阿太羅を見つめる。その瞳は情欲の炎で満ち満ちていた。
 その瞳に阿太羅の征服欲、そして嗜虐欲は膨れ上がっていく。
「ふ......ふふ、そんなにコイツが欲しいのか? 流璃子......」
 そそり立つペニスを見せつけるようにして、阿太羅が言う。
「ほ......欲しい、早く頂戴......」
 流璃子のおねだりに口の端から笑みが漏れる、しかしそう簡単に願いを叶えてやるつもりはなかった。
「だったら、ちゃんとお願いしないとなぁ......。さぁ言ってみろ、なにをどこに欲しいんだ?」
「えッ......、そ、それは......」
 流璃子は口ごもる。阿太羅が自分に何を言わせたいのかは理解していたが、直接言葉にするのは流石にはばかられた。
「そ......その......」
「どうした? いらないのか? ここはそうは言ってないがなぁ......」
 ためらう流璃子の秘部を指で弄びながら、阿太羅が言う。
「言えないのなら仕方ないか、ここまででおしまいということで......」
 そう言って、阿太羅は腰を引いた。無論、言葉どおりにおしまいにするつもりはさらさらなかったが。
「そ、そんなッ......! 言う、言うわッ」
「............」
 阿太羅は流璃子の言葉の続きを待つ。
「あ、あなたの......、お......おチン......ポで、わ......わたしの......おマ......、あぁ、いやぁ......」
「聞こえないな、ちゃんとおねだりしないとダメだろう?」
 ぐりぐりと自らの逸物を流璃子の淫唇に押しつけながら阿太羅が言う。阿太羅も今にも挿入したい欲望をなんとか抑えていた。
「く......ぅんッ......!」
「ほら、欲しいんだろ? 流璃子......」
「ほ、欲しいッ! んんッ......、おチンポがッ! あなたのおチンポが欲しいのッ!」
「どこに?」
「お......お、おマンコッ! わたしのおマンコにッ! おマンコにあなたのおチンポをぶち込んでくださいッ!」
 我慢の限界を超えた流璃子が、堰を切ったように卑猥な言葉を口にする。
 流璃子を完全に支配下に置いたかのような征服欲が阿太羅の心に満たされる、口の端が歪むのを止められない。
「よく言えたな、流璃子。ほら、ご褒美をくれてやる!」
 もはや欲望を抑える必要のない阿太羅は、待ってましたとばかりに腰を一気に押し出した。
 じゅぷぅっ! 卑猥な音を立て、阿太羅の肉棒が流璃子の秘裂に押し込まれていく。
「あ......あぁぁッ!! はぁぁぁんッ!」
 自らの胎内を突き上げてくる感触。待ちに待った瞬間に流璃子が全身で歓喜の声をあげる。
「う......オォ......」
 阿太羅もまた思わす呻き声をあげていた。それほどまでに自らの男根を包み込む流璃子の柔肉は余りに甘美だったのだ。
 誰にはばかることもなく、二人は互いに互いを貪るように腰を振り続けた。

 

「や......やりやがったッ!」
 二人の様子を見ていたパズスたちのうち、山揮が驚愕とも歓喜ともつかぬ声をあげた。
「くぅ~......、阿太羅めぇ、いい思いしやがってよぉ! たまんねぇな!」
 興奮を隠そうともせず、山揮が続けざまに声を発する。
 だが、二人の行為に興奮をしていたのは山揮だけではなかった。鶚もまたもじもじと下半身が落ちつかない様子だった。
 それに気づかないふりをしながらパズスが言う。
「ゲーッゲッゲ! とうとうおっぱじめやがったか。流璃子はもうちっと抵抗するかと思ってたんだが、
 あの女もよほど溜まってやがったんだなぁ。それにしても、阿太羅のエロ餓鬼の積年の望みを叶えてやって、
 しかも、あんな上玉で筆下ろしをさせてやろうなんてな。オレぁなんて優しいんだろうね」
 そんなパズスに冷静を装いながら烏慶が声をかける。
「お見事です、パズス様。まさかここまであなたがおっしゃったとおりにいくとは思いもよりませんでした。感服です。
 戦場においては勇猛果敢な武神である帝釈天も、平時においては手をつけられぬならず者だったということですか。
 ......まさか、これを見越して阿太羅を空中庭園の螺旋階段から拒絶したので?」
 烏慶は、先陣を切ってバビロンの空中庭園に乗り込もうとした阿太羅が、結界に阻まれ先に進めなかったことを思い出していた。
「ゲゲッ......、さぁな......」
 パズスはその質問の答えをはぐらかし、意味ありげな笑みを浮かべる。
(やはり、この方の底は計り知れない......)
 戦慄を覚える烏慶、そこに鳴蛇が割って入った。
「ではパズス様、そろそろもう一方へ......」
「ん~、そうだな、急がねえと阿太羅のヘニャチンは長くは持たなさそうだぜ、ゲッゲッゲ」
 パズスはそう答え、もじもじとしながらも流璃子たちの様子から目を離せない鶚に対して声をかける。
「鶚よぉ、そんなに欲求不満をまき散らさなくても、すぐに彊良をこっちに戻してやっから、好きなだけ抱いてもらえや。」
「えッ! そ、そんな......わ、私は......」
 鶚が顔を赤らめながらも、失意が漂う声を発する。鶚は彊良と恋人同士であったが、いまでは全身を火傷に覆われた身であった。
 その傷が負い目とない、彊良に以前のように積極的に接することが出来ずにいた。
 そう、鶚もまた流璃子と同様、その身を持て余していたのだ。
 だが、その流璃子は今は阿太羅と激しい性交を行っており、鶚は歓喜に喘ぐ彼女に対し激しい嫉妬と羨望を感じてもいた。
「んん~? あぁ、火傷のことか。なぁに、もうちょっとオレ様に魔力が戻ったら、元の綺麗な身体に戻してやるよ。
 可愛い部下の望みは叶えてやらんとなぁ」
「えッ!?」
 思いもかけないパズスの言葉に、鶚は一瞬我を忘れた。
「だからそん時にゃ、よろこんでオレ様にも抱かれるんだぜぇ、鶚。ゲッゲッゲ!」
「え? そ、そんな......わ、私......。ちょ、ちょっと失礼します」
 歓喜と羞恥の声をあげ、ぱたぱたと鶚は席をはずす。
 まさか自らの身体が元に戻るなんて考えもしなかった。身体が戻ればなんら負い目を感じることなく、彊良を求めることができるのだ。
「ゲッゲッゲ! 真っ赤になっちまって、可愛いもんだぜ」
 そう言って、パズスは意味ありげな視線を烏慶に向けた。
「フッ......」
 その視線を受け止めて、烏慶が氷のような笑みを返す。
 彊良や鶚たち四騎士を現世に召還したのは、他ならぬ烏慶であったが、烏慶の魔力を持ってすれば、
鶚を傷一つない姿で召還することも十分可能であった。その証拠に他の四騎士は手足を斬り落とされ、彊良にいたっては
当時のパズスを呼び出すために、頭部が砕け散っていたにもかかわらず、五体満足の姿で召還されているのだ。
 元より烏慶は、たとえそれが腐乱死体であろうとも、元の美しい姿に戻せるほどの魔力を持っているのだから。
 では何故、鶚の火傷だけそのままで呼び出されたのか。
 それこそが、当のパズスの指示であったからに他ならない。
 その心と身に傷を負った女である鶚であれば、なにかと甘いゴッドサイダーたちの攻撃の手が緩むであろうとのしたたかな計算の上で。
 実際に流璃子は、鶚への攻撃を躊躇い、絶体絶命のピンチを迎えている。
(それを今になって、元の身に戻してやることで部下の忠誠を高めることに利用するとは......、なんとも恐ろしいお方だ)
 烏慶はパズスの謀略術数に心底敬服していた。そして、あることに気がつく。
(鶚の身を元に戻すということは、もはやゴッドサイダーたちは脅威とはなり得ないということか......?
 つまり、じきにゴッドサイダーたちを滅ぼす算段がすでに出来上がっていると......)
 烏慶は、眼前の赤子の姿をした魔神に恐怖を覚える。
「んじゃぁ、ちょっくら行ってくるわ。これが終わったら、なにやら地下でゴソゴソしてやがる連中の始末もしなきゃならねぇしな」
 そう言い残して、パズスは鳴蛇とともに出て行った。
 その後ろ姿を烏慶は無言で見送る。
(......全てお見通しか。どうやら私も、今後の身の処しようを決めねばならぬようだな。いずれの側に着くべきなのかを......)

 

 霧の中の竹林で霊気は彊良と相対していた。
「神魔血破散弾ッ!!」
 霊気の拳から放たれる光の散弾を受け、竹林から生まれた虎は消え去る。
「どうした彊良! 張り子の虎ではオレは倒せんぞ!」
 吼える霊気を霧の中から見やる彊良。霧と竹林に溶け込んだ彊良の姿は、霊気からは見えていない。
「フッ、霊気め、好きなだけ吼えるがいい。今にこの忌陣影虎の恐ろしさ、たっぷりと味あわせてやる」
 そう言い身構える彊良の背後からパズスが現れた。
「ちょっと邪魔するぜぇ、彊良」
「パ、パズス様!? 一体どうなされたのですか」
 突然の主の来訪に驚きを隠せない彊良、しかしパズスは事もなげに言ってのける。
「せっかく盛り上がってるとこ悪ィんだけどよ、計画が変更になったんだ。オメェは神殿に戻って様子を見てな」
「なんですと? いや、しかしここは私が......」
「彊良、パズス様にはお考えがあるのだ。ここは大人しく引いてくれないか」
 パズスとともに現れた鳴蛇が、諭すように彊良に声をかける。
「......わかりました、パズス様。あなたを信じ、ここは引くことに致します」
「ゲゲッ、悪ィな。この埋め合わせは今度すっからよ」
(てめぇの大切な鶚を綺麗な身体に戻して、好きなだけ抱かせてやることでな。ゲッゲッゲ)
 ニヤニヤと笑いながら、パズスは彊良を見送った。
「さぁて、鳴蛇。おっぱじめるとするか」
「はッ!」
 今まさに、パズスの一連の策謀の総仕上げが始まろうとしていた。

「どうした彊良、怖気づいたか!」
 いつまでたっても姿を見せぬ彊良に対し、霊気が声を荒げた。
「残念だが、彊良はもうテメェにゃ興味がねえようだぜ。ゲッゲッゲ」
「き、貴様はッ......!」
 彊良の代わりにパズスが姿を現す。
 突然の魔神の出現に驚愕した霊気だったが、すぐに臨戦態勢をとる。
「フッ......、大将自らお出ましとは、手間が省けるってもんだぜ。」
 挑発的な発言をする霊気を、パズスは軽くいなす。
「ゲッゲーッ! お望みとありゃ、オレ様自ら相手してやってもいいんだがよ......、どうもそんな状況じゃねぇみてぇでな。」
「どう言うことだ?」
 尋ねる霊気に、ニヤニヤしながらパズスが答える。
「気にならねぇか? テメェが後に残してきた仲間たちがどうなっているかが......よ」
「き、貴様ッ! 二人に何かしたのかッ!?」
 パズスのセリフに振り返る霊気に対し、パズスは言葉を続ける。
「『何かした』つーか、『ナニをした』って言うべきかもしれんがなぁ、ゲッゲッゲ!」
「ど......どういうことだ......?」
「百聞は一見に如かずってな、二人の様子を自分でとっくり拝むがいいぜ」
 パズスがそう言うと、霧の一部が薄らいでいき、流璃子と阿太羅の姿が映し出された。
 一瞬、霊気は映し出された二人が無事な様子で安堵した。しかし次の瞬間、霊気の時は凍結する。
 そこには一心不乱に身を交じ合わせている二人の姿があった。流璃子の顔は歓喜に満ち、その身を絶え間なく振るわせて阿太羅を求めていた。
「こッ......! こ、これはッ......!」
 驚愕のあまり霊気はまともに声を発することもできない。しかし、突き付けられた現実に眼をそむけることもできずにいた。
 霊気の眼前で繰り広げられる恋人と親友との濃密な性交。
 衝撃は測り得ないほど大きく、霊気は硬直したままその様を見せつけられていた。
 その様子をパズスは満足気に眺めていた。この世のものとは思えぬほど醜い歓喜の表情を浮かべつつ......。 
「う......嘘だ......」
 絞り出すように言葉を吐き出す霊気。
「あ~......、わかるぜぇその気持ち。死んでも認めたくねぇよなぁ、てめぇの恋人が親友に寝とられているなんて現実はよぉ。」
「だまれッ! こんなものは幻覚だ! 貴様らがオレを動揺させるために仕組んだ罠だッ!」
 霊気は声を荒げる。それは認めたくない現実から目をそむけている証拠だった。
「そうかいそうかい、認めたくねぇならそれでもいいさ。だが、現実はてめぇの想像より残酷なもんなんだぜ」
「う......うるさいッ!!」
 しかしそう言いつつも、霊気は心の奥底では目の前の痴態が現実であることを理解していた。
 かつて霊気は悪魔神父フォラスに幻覚を見せられたことがある。その際に感じた頭の中に靄がかかったような感覚を今は感じていない。
 そして眼前の流璃子の艶めかしい表情、生々しい身体の動き、全身から発せらるかのような喘ぎ声が、現実であることを証明していた。
 恋人であるはずの自分の前では、一度として見せたことのない恍惚とした表情......、霊気の中に抑えようのない嫉妬心が芽生える。
「ゲッゲッゲ。観念したようだな、だがよぉ霊気、こんなことになっちまったのも、てめぇのせいなんだぜぇ」
「......オ、オレが、オレが一体なにをしたというんだ!?」
 肩をふるわせつつ霊気がパズスに言葉を投げつける。
「なにをしたじゃねぇよ、なにもしなかったのが問題だってんだ。てめぇ、流璃子を抱いてやったことあんのかよ?」
「馬鹿なッ、オレは貴様らやデビルサイダーのように、欲望のままに女性を求めるようなことはしないッ!」
 即座に否定する霊気に、薄ら笑いを浮かべつつパズスが答える。
「バカはてめぇだ。セックスなんてのは人間の男女だって普通にやってることだろうが。
流璃子は恋人に抱いてもらえない欲求不満が溜まりに溜まってパンパンって様子だったぜ」 
 霊気は言葉に詰まる。
「てめぇだって知ってるだろう、流璃子が地下の牢獄でデビルサイダーどもにどう扱われていたのかを......」
 かつて流璃子が捕われていた悪魔側の人間の拠点につくられた牢獄。
 ハルパス、そしてベルゼバブの拷問を受け、半死半生の状態で捕われていた流璃子......。
 身にまとっていたものを全て奪われ、全裸の状態でデビルサイダーの男どもの前に晒されていた流璃子......。
 そのような状態で流璃子がどんな扱いを受けていたのか、霊気にも十分想像はできた。
「無理矢理だろうが、嫌々だろうが、デビルサイダーども散々弄ばれ、その肉体は性の快楽に目覚めさせられてんだ」
「や......やめろ......」
 霊気は想像せずにはいられない。薄暗い牢獄で繰り広げられる悪魔の宴。
 半死半生で満足に抵抗もできない流璃子の身体は、下卑たデビルサイダーたちのいい様に弄ばれる。
 乳首に、尻に、股間に、流璃子の身体のあらゆる場所に、指が、舌が、そして陰茎が押しあてられ、
夜となく昼となく、止むことなく犯され続けられる流璃子......。苦痛はいつしか快楽へと変化し、心とは裏腹に身体は男を求め始める......。
「ウワァァーーッ! やめろーーーッ!!」
「ゲッゲッゲ、聞くに堪えねぇか? だがよ、そんな流璃子をてめぇは慰めてやることもしなかったよなぁ」
「ウッ!?」
 パズスの指摘に霊気は反論できない。
「流璃子はきっと身を持て余していたんだろうぜ、メスの匂いをぷんぷんさせてなぁ。あの殆ど裸みてぇなコスチュームも、
ひょっとしたら、欲求不満の現れだったのかもしれねぇなぁ......」
「そ......そんな......、オ、オレは......流璃子のためを想って......」
 がっくりと膝をつく霊気、その心中は焦燥と後悔に満ち溢れている。そんな霊気の心の隙を、かの大神魔王が見逃すはずもない。
「まぁ、そう落ち込むなや霊気。さっきはてめぇのせいなんて言ったがよ、どう考えても一番悪いのは、今流璃子を犯しているあの男だろう?」
 パズスはそう言って、霊気の眼前で流璃子を犯している男を指し示す。
「あ......阿太羅......」
「そう、オメェが一番信頼する、......いや、信頼していた戦友であったはずのこの男さ」
 パズスは、意図的に霊気の阿太羅に対する信頼を過去の物であるかのような表現をする。
「この男は流璃子がオメェの恋人であることは百も承知だったはずだ。だが、オメェの眼が届かないと見るや、
欲望をむき出しにして流璃子を犯しまくってやがる。自らの欲のために平気で信頼を裏切るとはな、悪魔にも劣る犬畜生だぜ。」
 パズスの言葉は、ゆっくりとしかし確実に霊気の心を負の方向へと傾けていく。
「あ......阿太羅ァァ......ッ! 許さん、許さんぞォォ......」
 霊気は怒りのあまり食いしばった歯茎から血を流しつつ、流璃子と阿太羅を凝視し続ける。
 霊気と二人の間にはパズスが作り出した障壁が存在し、あちら側へ行くことはできない。
 恋人が親友に奪われるという目の前の現実をただ見る事しか、今の霊気には許されなかったのだ。

 普段の霊気であれば、いかにパズスの甘言といえど惑わされるようなことはなかったであろう。
 そう、霊気も流璃子や阿太羅と同様に鳴蛇の毒に侵され、正しい心を失っていたのである。
 もっともこれほど速効性のある毒であれば、油断していた阿太羅たちはともかく、臨戦態勢にあった霊気が気づかないわけはない。
 だからこそ、パズスは最初に霊気に最大の衝撃を与え、まずその思考を停止させた。
 その後に自らの言葉に耳を傾けさせ毒に気づく隙を与えずに、じっくりと霊気の心に毒を沁み込ませていったのであった。
 陰謀は功を奏し、眼前のゴッドサイダーは、すでに復讐の権化と化している。
 パズスはそのいやらしい笑みを抑えることができなかった。
 しかし、霊気はすでにパズスのことなど目に入っていない。食い入るように眼前の流璃子と阿太羅を見つめている。
 激しい嫉妬と怒りに燃える霊気の体内では、その中を流れる血が目覚め始めていた。
 無論、聖なるヴァイローチャナの血ではない。さりとて大魔王サタンの血でもなかった。それは......。

 

「あぁんっ! あんっ、あぁ~......んっ!」
 流璃子と阿太羅は激しく肉体を交わらせ快楽の極みにいた。その様子を霊気に見られているなどとは思いもよらずに。
 阿太羅の肉棒は流璃子の秘壺を突き上げ、その都度に流璃子の身体が激しく揺さぶられる。
 乳房はたぷんたぷんと揺れ、全身から汗がきらきらと飛び散る。
「あぁッ! いいッ、すごく......ッ、すごくいいッ!」
 突かれる度に快楽の波が押し寄せ、流璃子は誰に憚ることもなく嬌声をあげる。
 無論、阿太羅もこの上ない快楽を味わっていた。
 己の肉棒を包み込む流璃子の柔肉の甘美さに酔いしれ、永遠にこの交わりを続けたいとの思いがよぎる。
 しかし、阿太羅の精神はすでに目覚めた帝釈天の血に乗っ取られつつあった。
 流璃子の胎内に己の男根を突き立てた瞬間。その一線を越えた瞬間が、阿太羅と帝釈天の血の主客が逆転した瞬間でもあったのだ。
 阿太羅の姿をしたそれは、目前の極上の獲物の全てを味わおうとするかのように、一層強く腰を打ちつけた。
「あぁぁぁッ! そんな......ッ! 激しいぃ......んんッ!!」
 流璃子は声を上げ、今までよりも更に強い快楽の波に襲われた。しかし、その波に逆らいはせず、
むしろ自らのみ込まれようとするかのようであった。
 口からは涎まみれの舌を突き出し、股間からはとめどなく愛液が溢れだしペニスの更なる抽送を促していた。
 悶々と満たされぬ身体を持て余し、鳴蛇の毒により淫らな気持ちを呼び起こされ、阿太羅の巨大な魔羅で絶え間なく貫かれる。
 流璃子は身も心もこの快楽に酔いしれていた。
「んぁッ! あぁんッ! あぁ、だめぇッ! わたしッ、もぅ......ッ!」
 そして、流璃子が待ちに待った絶頂の瞬間が近づきつつあった。今まで溜めに溜めてきたものが、とどまることなく溢れだす瞬間が。
 阿太羅の身体も同様に限界に近付いていた。先ほど射精したにも関わらず、すぐにでも達してしまいそうだった。
 いや、この女の身体であれば何度抱いても飽き足らないだろう、何度でも精を注ぎ込めるだろう、
そのような思いを抱いてしまうほど、流璃子の身体はこの上なく美味であった。
 そして、彼女の胎内を突き上げる肉棒は、さらに激しさを増す。このまま一気に絶頂を迎えるつもりであった。
「あああぁぁッ! だめ、だめぇッ!! いやぁッ! も、もう......ッ!!」
 流璃子は髪を振り乱し、最大の声で喘いだ。そして......。
「いくッ! いくぅ......ッ! あああああぁぁぁ~~~~~~~ッ!!!」
 ドビュ! ドビュルルルッッ!!
 大量の精液が濁流となり流璃子の胎内へと流し込まれる。
 熱いほとばしりを下腹部に感じながら、流璃子はすべてから解放されたかのような絶頂を迎え、その意識は真っ白な世界に包まれた。

 

「そぉら! ご対ぁ~面とくらぁ!」
 流璃子が絶頂に達したまさにその瞬間、パズスの魔力により霊気の前の障壁が取り除かれ、霊気が二人の濡れ場に姿を現した。
 だが流璃子が霊気を認識することはなかった。絶頂に達すると同時に、気を失っていたからである。
 それはかえって幸運だったかもしれない、これから始まる修羅場を目の当たりにせずに済むのだから。
「阿太羅ァ......! 貴様ァァ......ッ!!」
 霊気が血を吐くような声を出し、阿太羅をにらみつける。
 だが、阿太羅の肉体はすでに帝釈天に乗っ取られている。
「これはこれは、甘い濡れ場には似つかわしくない険しい顔をした野郎が現れたもんだ」
 阿太羅の姿をしたそれは、阿太羅とは別の声で悪びれる様子もなく言ってのける。
 しかし、その声を聞いた瞬間、霊気の中の血が沸騰した。そしてその口からは霊気とは別の声が吐き出された。
「貴様は帝釈天! そうか、貴様の淫らな血が目覚めていたというわけかッ!」
「おやおや、そっちもすっかり目覚めているようじゃねぇか。ヴァイローチャナ......、いや、こうお呼びした方がいいかな?
阿修羅族の長、阿修羅王さんよォ!?」
 帝釈天の挑発的な声を聞いた霊気の中の血は完全に目覚め、一瞬で霊気の肉体を支配した。
「キサマァッ!! またしても、またしても私の大事な女を、手にかけおったなァァァッ!!」
「だったらどうだってんだ? オレを恨む前に女を寝取られるテメェの不甲斐なさを恨むんだな」
 怒りに燃える霊気の姿をした阿修羅王、迎え撃たんとする阿太羅の姿をした帝釈天、互いの激突は避けられそうにない。

「上手くいきましたな、パズス様」
「あぁ、上出来、上出来♪ 鳴蛇、おめぇの進言が功を奏したぜ。まさかヴァイローチャナが元々は阿修羅族の王だったとはな」
 そう、ヴァイローチャナは、現在においては毘盧遮那仏とも呼ばれ最高の仏の一つであるが、源流をたどれば阿修羅族の王とされている。
その事実を知っていた鳴蛇は、パズスが阿修羅と帝釈天の因縁を語った際にそのことを進言したのである。
 パズスはその阿修羅王、帝釈天、そして阿修羅の娘である舎脂の関係を、霊気、阿太羅、そして流璃子に置き換え、
かつて天界全土を巻き込んだとも言われる争いを、今、この場に再現したのだ。
 そして、今まさに戦いの火蓋が切って落とされようとしていた。
「パズス様、そろそろこの場は危険では?」
「あぁそうだな。楽しい楽しい一大イベントの幕開けだ。オレ達ゃ宮殿で高みの見物と洒落込もうかね。だが、その前に......。」
 邪悪な笑みではしゃぐパズスの視線の先には、気を失い倒れている流璃子の姿があった。
 -そして、阿修羅王と帝釈天の戦闘が開始された。

 

 阿修羅王と帝釈天の戦闘、いや、もはや戦争と呼ぶべきかもしれないその戦いは、三日三晩に及んだ。
 東京上空で始まったその戦いは、範囲を次第に拡大させ最終的には関東一円をほぼ壊滅状態にまで追い込むほどであった。
 無論、そこまでの破壊を尽くした戦いに霊気と阿太羅の肉体が耐えきれるはずもない。
 ぶつかり合った力の余りの強さに、彼らの身体は気化し、今やこの大地のどこにも霊気と阿太羅の姿は存在しなかった。

 

 その戦いは、障壁で守られているはずのパズスの空中庭園にも少なからず影響を与えた。
 庭園部分の多くは崩壊し、宮殿も壁や柱に大きく亀裂が入っている。
 しかし、戦闘の強大さに比較すれば、その程度の被害で済んだのはむしろ奇跡といえたかもしれない。
 そして、この宮殿の主は、その最深部で勝利の宴の真っ最中であった。
「あぁっ......! くぅっ......ん!」
 青年の姿まで成長したパズスの腰の上で、その巨大な男根に貫かれ流璃子が喘いだ。
 阿修羅王と帝釈天の戦闘が開始される直前に、パズスが流璃子をかっさらっていたのである。
「おらおら! はしたなく腰を振りやがって、そんなにいいのかよ? この淫乱なメス犬めが!」
「あぁ、そうですッ。私は淫乱なメス犬ですッ! もっと、もっとお情けを下さいませ!」
 パズスの言葉にありえないような言葉を返しつつ、求めるように腰を振る流璃子。
 そう、すでに流璃子はパズスの洗脳を受け、その肉奴隷と化していた。
 かの大魔王サタンの妻であるリリスをも籠絡したパズスにとって、いまだ鳴蛇の毒に侵され人の心を失っている流璃子を
洗脳することなど、赤子の手をひねるよりもたやすいことであった。
「おら、てめぇばっかりヨガって手と口を休めてんじゃねぇぜ。左右のチンポがお待ちかねだろうが」
 パズスの腰の上で喘ぐ流璃子の左右には、鳴蛇と山揮がはちきれんばかりのペニスが突き出されていた。
「あぁ......、わかりましたご主人さま。んん......、あむ、んふぅ」
 流璃子はパズスの命令に素直に従い左右の肉棒に奉仕を始める。
 二本の猛々しい肉棒を流璃子は丹念にこすり上げ、そのはち切れそうな亀頭を口に含み舌を這わせた。
 ぬぷっ、れるっと流璃子が男根に舌を這わせる淫靡な音が響き渡る。

「お......おぉ......、気持ちいいぜぇ......」
 山揮がだらしなく快感の言葉を口にする。それほど流璃子の奉仕は甘美であった。
「う......むぅ、たしかに大した手並みだ。......しかし、いささか従順すぎますな。オレは嫌がる娘をむりやり犯す方が好みなのですが」
「ゲーッゲッゲ! 相変わらずのサディストだな、おめぇは!」
 非道な言葉を吐く鳴蛇に、楽しげにパズスは答えた。その間も、その男根は休まず流璃子の股間を突き上げる。
「んあっ......! はぁん!」
 突かれる度に股間からは愛液が噴出し、じゅぷっ、じゅぽっといやらしい音を立てる。そしてその度に流璃子は甘い声を上げた。
「しっかしよぉ、この女のナカは実に具合が良ぃぜ! こいつぁとんだ拾いモンだったな」
 さらに深く流璃子の胎内に侵入しながらパズスが言う。
「まったくでさぁパズス様。こんな上物を阿太羅なんぞに味わわせてやるのは、ちと勿体なかったですな」
 腰を振りながら激しく流璃子の口を犯しつつ、山揮が言葉を返した。
「同感だが、そのおかげでやつらの仲間割れを引き起こしたのだから、結果は重畳極まるというべきだ」
「まぁ、そういうこった。それによ、この女の肉の味が極上ってんなら、もっとも身近にいながらそれを味わえずくたばっちまった霊気は
どうしようもなく哀れなマヌケ野郎ってことじゃねぇか。ゲーッゲッゲッゲ!」
 パズスが大声を出して笑った。
 霊気の名前が出た瞬間、流璃子の動作が止まったが、すぐに何事もなかったかのように奉仕の続きを始める。
 すでに流璃子は身も心も、パズスの奴隷と化してしまっていたのだ。
「しかし奴らの戦闘は凄まじいものがありましたな、その余波でこの神殿もかなりのダメージを受けております」
 流璃子の頭を押さえ自らのモノを咥えさせつつも、冷静に言葉をつむぐ鳴蛇。
「なぁに、この程度のダメージはすぐにでも修復できるだろうさ。それに連中が暴れまくってくれたおかげで、
地下で大魔王(サタン)復活を目論んでやがったデビルサイダーどもも一掃できたことだしな。手間が省けたってもんだ」
 そう、パズスの言葉どおり霊気たちがパズス教団と争っているその真下でサタン復活の儀式が執り行われていた。
 しかしそれも阿修羅王と帝釈天の戦闘の余波を受け壊滅し、復活のための魔法陣も吹き飛ばされていた。
 もはや、パズスを脅かすものは存在しないとさえ言えた。
「んっんっ......んむっ、れるれる......、んはぁ......」
 パズス達が話し合っている最中も流璃子は休まず奉仕を続けていた。
 手と舌で鳴蛇と山揮の肉棒を刺激し、腰を振ってパズスの男根を受け入れる。
「うっ......! 出ちまいそうだ」
 その流璃子の奉仕を受け、山揮が声を上げた。
「うむぅ......、こちらもそろそろ」
 続くように鳴蛇も言う。
「ゲッゲッゲ! 丁度いいぜ、それじゃあ仲良くブチかましてやろうじゃねぇか!」
 パズスはそう言い、一層深く己の魔羅を流璃子に突き立てた。
「あぅッ!! ハアァッ! あああああ~~~~~~ッ!!!」
 子宮の奥深くにまで凶悪な肉棒を突き上げられ、流璃子がたまらず絶叫する。
 同時に、山揮、鳴蛇、そしてパズスの肉棒が膨れ上がる。
 ビュルッ! ビュルルッッ! ドビュルルッッッ!!
 次の瞬間、濃厚で大量の白濁液が流璃子の顔に、口に、そして胎内に吐き出された。
「あああぁぁ~~~~~~~~......ッ!! あぁ......、はぁはぁ......」
 流璃子は絶頂を迎えた後、そのまま倒れ込み、荒い息を吐いていた。
 倒れた流璃子の顔は大量の精液に穢され、口からは飲みきれなかった精液が零れる。
 そして、女陰からはこぽこぽと音を立て、パズスが注いだ白濁液が溢れだしていた。
 しかし、パズスはその流璃子の股間を中指でぐりぐりと弄りながら、言葉を続ける。
「おら、休んでんじゃねぇ。 まだまだお楽しみはこれからだぜ、流璃子ちゃんよ。 ゲッゲッゲ!
二次会は鶚や彊良、蘇聴に烏慶も加えての乱交パーティと洒落込もうや」
 パズスの淫猥極まる提案に山揮がいち早く賛同の声を上げる。
「そいつぁいいや! さすがパズス様、わかってらっしゃる」
「実に名案ですな。我らパズス教団はゴッドサイダーどものような薄っぺらい友情などといった精神上の繋がりではなく、
実利を兼ねた肉の繋がりを持つということになりましょう」
 鳴蛇も賛同の声を上げ、山揮に続いた。
「ゲッゲ! いいこと言うぜ鳴蛇。オレたちゃこれからこの地上の支配者さまにならなきゃいけねぇんだ。仲良くしとかねぇとな」
 ゲーッゲッゲッゲというパズスの笑い声が空中庭園中に響き渡った。

 ゴッドサイダーは、その主力ともいうべき霊気、阿太羅を失い、流璃子はご覧のあり様である。
 本来の世界であれば、ゴッドサイダーとして目覚める筈であった鶚、彊良は今後もパズス一派の幹部であり続けるだろう。
 残りのゴッドサイダーも行方不明の状態であり、すでに集団としての形を成していなかった。
 一方のデビルサイダーは、サタン復活のための魔法陣を吹き飛ばされ、再起に向けた機会を失った。
 また、蘇聴はすでにパズスの洗脳下にあり、烏慶は今回の一件でデビルサイダーに見切りをつけた。
 つまり彼らがリリス、アスタロトとしてデビルサイダーの戦力になることは永遠になくなったのである。
 今後ますます肥大化していくであろうパズス教団を止めるだけの力を持つものは、もはや地上の何処にも存在しなかった。
 そして、パズスは地上の全てを支配した後には何も残さないだろう。
 人類50億人全てを食らいつくし、食べ物がなくなれば地球さえも食らいかねない。
 そして、そう警告を発した流璃子は、皮肉にも今やパズスの肉奴隷となり果てている。
 ふとしたきっかけで誕生した本来とは別の世界。
 この世界の未来には絶望という二文字しか存在しない......。

 

ゴッドサイダーアナザーストーリー「神の血」 -完-

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