題名:「野望と欲望」

「野望と欲望」

 

闇の中の会話。
《......一体何の役に立つのか......?》
《俺の計画に必要なんだ......用意できるか?》
《......たやすいことだ...が...意味が判らぬ......》
《見ていれば判る......見ていればな......俺を信じろ......》
《......ふむ......まあ見せてもらうとするか......》

地獄界。
全てのデビルサイダーを裁く権限を有する大公爵アスタロトの豪壮な邸宅は、サタンの居城である
魔皇宮に隣接して建っている。きらびやかな装飾に覆われた豪華な応接間で、主は訪問者と対峙し
ていた。
「久しぶりだな......一体どこをほっつき歩いていた?」
「クックック......ちょっとな。地上の視察なんぞを......」
「貴様がそんな殊勝なタマか...今度は何を企んでいる...?」
端正なアスタロトの顔に青筋が浮かび上がる。
(いつもそうだ...こいつはなぜか私を苛立たせる...)
「クックック......そういきり立つなよ。サタンの側を離れられない兄貴に変わって色々見てきたん
だぜ......」
「!...サルガタナス!魔皇様を呼び捨てにするなと何度言わせる!」
異形の弟を怒鳴りつける。大方のデビルサイダーがひれ伏して顔も上げられないほどの怒気も、サ
ルガタナスには通じない。
「いいじゃねえか...俺達はヤツの身内同然なんだぜ...クックック...」
「姉上に迷惑をかける振る舞いは許さぬぞ!」
「クックック...心配ねえよ。ヤツなら今頃姉貴の体に溺れきっているさ......」
「......!!」
思わず立ち上がったアスタロトの顔から血の気が引いていく。激昂の前兆。部屋中が禍々しい瘴気
が満ちる。並みのデビルサイダーなら即死しかねないこの空間で、サルガタナスは平然とソファに
ふんぞり返っている。
「判ってんだろう、兄貴...?当然だよなあ、地獄一の英才を謳われる兄貴だもんなあ...クックック
...」
「き、貴様......!!」
「5年も前に地上の全てがデビルサイダーのものになったってのに...ルキフグスごときに地上を任
せっぱなしにして。ヤツは王様気取りのいい身分だぜ...ゴッドサイダーどもが動き始めたってのに
よ...」
「サタン様は...ベルゼバブの再生儀式に専念されておられるのだ...。ゴッドサイダーはラスネール
遊撃隊が...」
「いい加減自分を偽るのはやめろよ兄貴...サタンがその気になりゃすぐじゃねえか...クックック」
アスタロトに酷似するサルガタナスの半身が嘲笑する。言葉に詰まるアスタロト。
(こいつ...どこまで正鵠を射ているのだ...)
「俺には心がねえ...生まれたときからな。だから愛なんて知らねえが...その分、他人の心が見える
のよ...。兄貴は地獄界に戻ってからいつも憂鬱そうだぜ...サタンと姉貴の睦み合いを想って悶々と
しているってとこだろう...クックック...」
「サルガタナス...!」
「おおっと、今更ごまかさなくていいぜ...クックック。兄貴が姉貴に惚れてるってのはずっと昔か
ら知ってんだからな...兄貴は必死に押し隠してつもりだろうがよ...」
サルガタナスは立ち上がり、呆然と立ちつくすアスタロトにゆっくりと近づく。
「姉貴がサタンに嫁いだときは大荒れだったねえ...天界一の俊英アスタロトも形無しだったなあ...
クックック...」
「ど、どうしてそれを......」
「俺には人の心が見えるって言ったろ...他の連中は気付かなかったようだがよ。ちょっと考えりゃ
わかるってもんだぜ...サタンが地獄に堕ちたときだってよ、ミカエルの信頼を一身に受けていた兄
貴なら天界にとどまれたはずだぜ...。」
サルガタナスは硬直したままのアスタロトの耳に囁く。
「だが兄貴は共に堕天した...天界中が驚愕しただろうぜ...クックック。それに、よ...姉貴がサタン
復活のためにパズスに接近してまんまと罠にひっかかっちまった時も...」
アスタロトの顔に脂汗が浮かぶ。
「大影神烏慶なんて名乗っていつも側で見守っていたのは兄貴だ...本当にサタンが大事ならパズス
復活に手を貸すのは変じゃねえか...クックック...」
「...あ、姉上を人質に取られては...仕方がない...」
絞り出すような声で、ようやくアスタロトが反駁する。
「クックック...それでサタンや他のぼんくらどもは騙せてんだから流石だよ、兄貴...だが俺には判
るぜ...兄貴は姉貴のそばに居たかったんだ。独り占めしたかったんだってな...」
「サ、サルガナタス......」
「おっと、俺は別に責めてるわけじゃあねえ...クックック。兄貴が姉貴への愛とサタンへの嫉妬に
苦しんでいるのを見るのは忍びないってことよ......」
アスタロトの回りをぐるりと一回りして再び囁く。
「なあ、兄貴の願い...叶えてやろうか......?」
「......!サ、サルガタナス...何を言っているのだ...姉上はサタン様を...」
「愛してるってか...クックック。だがな、いつも一緒にいた兄貴のことはどう思ってんのかな...?
弟ゆえに許されない愛と、無理に諦めてサタンに嫁いだ...なんて考えは浮かばねえかい...兄貴よお
......」
サルガタナスの唇がアスタロトの耳に触れんばかりに近づけられる。
「なあ、確かめて見ちゃあどうだい......?」
魔の誘惑がアスタロトの全身を貫いた......

魔都を見下ろす断崖上。
霊気と流璃子は二人きりで風の中に立っていた。背後の森が黒々とした影を増す黄昏時。
「どうしたの、霊気?ずっと黙りこんで...?」
風になぶられる長い髪をかき上げながら流璃子が尋ねる。
呼び出しておきながら、魔都を見下ろしたまま黙り込んでいる霊気。
「...流璃子...明日は魔都突入だから...その前にどうしても確かめておきたいことが...」
予感に震える流璃子。
「な...何?」
「あ、あの...あの約束を...覚えてるか?」
流璃子の脳裏に蘇る記憶。幼い日の約束。遠い日の口づけ。
一瞬たりとも忘れたことはない。しかし......。
「な、なあ、流璃子...この闘いで生き残れたら、お、俺...あの約束を...」
恥ずかしそうにうつむく霊気。頬が赤い。
同じようにうつむく流璃子。しかしその顔は蒼白だった。
(......あんなにも聞きたかった言葉......離ればなれの日々、どれだけその言葉を聴くことを夢見た
かしら...でも...でも...もう、私は......)
悪夢のフラッシュバックが流璃子を襲う。
体を貫くデビルサイダーの猛りを受け入れたあの日。
行仁和尚の執拗な責めに狂おしく燃えた日々。
鶚と彊良に弄ばれ続けた夜。
(...私...私...言わなきゃ...言って...許しを貰わなきゃ...で、でも...霊気は許してくれるの...?)
霊気を失う恐怖が流璃子を鷲づかみにする。
(...駄目...言っては駄目...秘密に...秘密にしていれば、わからない...でも...)
霊気が思い切って顔を上げ、流璃子を見つめる。
「あ、あの結婚の約束を果たしたいんだ...!」
ぎくりと流璃子の体が硬直する。
「流璃子...へ、返事を聞かせてくれ......」
霊気の情熱に燃える瞳。流璃子は見返せない。
(霊気を騙して...騙し続けて生きていけるの...?もし行仁和尚様や鶚さんがまた求めてきたら...)
霊気と二人だけで生きて行きたい。もう誰も邪魔して欲しくない。
(...言うのよ、流璃子...大丈夫...霊気は...私の霊気はきっと判ってくれる...)
「ど、どうしたんだ流璃子...も、もしかして...」
いつまでも返事をせずにうつむいている流璃子に、霊気が心配そうに声をかける。
(...流璃子は、もう俺の事なんか何とも想っていなかったのか...?)
パズス戦の前の二人での暮らし。何度流璃子に告白しようと思ったか。だが、聖女のように清らか
な流璃子を見ると、どうしても最後の一歩が踏み出せなかった。パズス戦で衝動的に奪った流璃子
の唇。甘い感触が今も霊気の唇を離れない。
(いきなりだったからな...もしかして、怒っているのかな...)
霊気は流璃子の処女を全く疑っていない。
「る、流璃子...あの...」
「霊気...あのね...」
二人が同時に声を出す。
「あ...流璃子...言ってくれ...」
「霊気...あなたこそ...」
しばしの譲り合い。どちらともなく二人に微笑みがこぼれる。
(...大丈夫...きっと大丈夫...この人なら...)
顔を赤らめながら、流璃子の唇が言葉を紡ごうとする。
「霊気...あのね...私...」
告白の直前。
背後の森の闇が二人の周囲を取り囲んだ。

「ようよう、お二人さん。熱いじゃねえかよ~...クックック......」
突如現れたデビルサイダーの群。とっさに流璃子をかばう霊気の前に、異形の男がわざと下卑た口
調で現れる。
「クックック...俺は地獄の公爵サルガタナス様だ...。こんなところで逢い引きとはお安くねえなあ
...ちょっと俺達とも遊んでくれよ...」
「流璃子、みんなの所に逃げろ!ここは俺が防ぐ!!」
鎧を纏い、刀を掴む霊気。
「で、でも...私も、私も闘うわ!」
輝く裸身を薄い羽衣がわずかに覆う。流璃子が曝す白い肌に、デビルサイダー達の目が欲望にぎら
つく。
「早く逃げるんだ!阿太羅達を呼んで来てくれ!」
霊気の声が切迫する。
(サルガタナス?...こいつ...強い!ラスネール以上だ...)
「...わ、わかったわ!」
霊気が渾身の怨霊散弾を放つ。一角のデビルサイダーが消滅し、その突破口流璃子が駆け抜ける。
両側から襲いかかろうとするデビルサイダーの群が、弥勒冥界光で蹴散らされる。
「おっと逃がすかよ!」
サルガタナスが流璃子を追おうとする。
「待て!お前の相手は俺だ!」
振り向くサルガタナスが嘲笑する。
「クックック...俺は男が嫌いでな...お前の相手はそこにいるぜ!」
突然背後にわき上がった巨大な瘴気。慌てて振り向く霊気。見覚えのある姿に驚愕する。
「!!...大影神烏慶!?」
「クックック......いくぜ野郎ども!兎狩りだ!」
デビルサイダー達を率いて流璃子を追撃するサルガタナス。だが霊気は後を追うことができない。
「烏慶はかりそめの名に過ぎぬ......私は地獄の大公爵...アスタロト。」
アスタロトの周囲の瘴気がみるみる鎧を形成していく。
「あの時の決着をつけようぞ、霊気!」
アスタロトの剣が鋭利な光を放つ。巨大な力と力が激しく衝突する。

森の中。
流璃子は既に疲労困憊していた。巧妙に配置されたデビルサイダー達の矢継ぎ早の襲撃により、流
璃子は森の中深くに迷い込んでいた。どれほどのデビルサイダーを倒しただろう。雲霞のように湧
きだしてくる敵のため、もはや歩くのがやっとの状態だ。
突如正面を遮る三体のデビルサイダー。気配を感じる気力も失っていた。この至近距離では逃げき
れない。
「鬼哭敷圧膨殺!」
流璃子の羽衣が伸び、一体のデビルサイダーの首に絡まる。急速に膨れ上がる羽衣。一瞬にして首
が落ち、立ちつくしたまま頭のあった部分から血潮が噴き出す。だが、他の二体は頓着することな
く流璃子の懐に潜り込む。一体が流璃子の華奢な両腕を封じるや、もう一体が鳩尾に拳を叩き込む。
一瞬で意識を失い、腕を捕られたままがっくりと首を俯ける流璃子。全裸に近い艶めかしい肢体が、
無防備に曝される。
「...噂に違わぬいい女だな...」
「ああ......上玉だ...」
二人のデビルサイダーは流璃子から眼を離すことができない。地面に横たえられた流璃子に、四本
の腕が伸びていく。流璃子の肌に触れる寸前。
「レラジエ...ヴァレフォル...仕留めたか?」
冷酷な声に動きが止まる。慌てて振り向いた二人の前にサルガタナスが立っていた。
「サ、サルガタナス様...!」
「...ご、御覧を!」
「クックック...傷は付けていないようだな...。よし...お前達、流璃子を運べ...クックック...もうお
かしな気は起こすなよ...」
「ははっ!!」
声を揃えた二人は、流璃子をそっと担ぎ上げる。情欲はまだ残っていたが、二人は魔将軍クラスの
上級デビルサイダーだった。流石に理性を働かす術を知っている。
(せっかく悪魔の時代が来たってのに、ここで死んでたまるかよ...)
(ああ...仕事が終わったら魔都の女でも漁ればいいさ...)
二人は流璃子を運び去る。嘲笑を浮かべて見送るサルガタナス。
「さて...兄貴を手伝うか...クックック...」
一瞬にしてその姿がかき消された。

断崖上。
霊気とアスタロトの激闘はなお続いていた。接近しての斬り結び。離れての飛び技の応酬。拮抗す
る二人は決定的な隙を見いだせないまま、奥義の連発に呼吸も荒く対峙している。
「クックック...兄貴。ずいぶん苦戦じゃねえか...」
霊気の背後に姿を現すサルガタナス。
二対一...その状況よりも、流璃子の身を案じる霊気。
「流璃子は...!流璃子はどうした!!」
サルガタナスに迫る霊気。
「クックック...そうだな、今頃は俺の兵隊達の玩具じゃねえか...クックック...」
嘲笑を浮かべ、無防備で立つサルガタナス。
「ぬうう...!喰らえ!神魔血破弾!!」
霊気の右腕がサルガタナスの胸に叩き込まれる。
「ぐおッ!」
苦痛に顔を歪め、一瞬よろめくサルガタナス。が、次の瞬間嘲笑が一層高くなる。
「クックック...大した威力だが...同族を傷つけるなど罰当たりな奴よ......天罰を受けよ!神雷(ゴ
ッドサンダー)!!」
サルガタナスの全身から放射される凄まじい雷。霊気は至近距離からまともに直撃を受ける。雷撃
が全身を貫き、鎧が消し飛ぶ。吹き飛ばされ、倒れ伏したままぴくりとも動かない霊気の体には、
なおも雷がまとわりついている。
「クックック...あれだけ喰らって原型を留めているとはな...」
サルガタナスがゆっくりと霊気に近づく。
「念には念をってな......クックック」
サルガタナスの右手に抜き身の剣が現れる。素早く振るうや、一瞬にして霊気の四肢が切り飛ばさ
れる。噴き出す血潮が一帯を朱に染める。
「サ、サルガタナス!」
慌ててアスタロトが制止しようとする。
「クックック......殺しゃあしねえって。これくらいで死ぬタマかよ......2、3日で再生しちまうぜ」
サルガタナスが霊気の毛髪をつかみ、荷物のようにぶら下げる。
「兄貴、約束だぜ......霊気の始末は俺に任せてもらう......」
「う、うむ...殺さないというのであれば...」
なぜかうろたえ気味でうなずくアスタロト。
「じゃあ、いいぜ。姉貴に会わせてやるよ。行こうぜ...クックック...」

アスタロト邸の一室。
薄暗い客間にそれは置かれていた。豪奢な彫刻で飾られた天蓋付きの寝台。桃色の薄絹に覆われた
それは場違いな輝きを放っていた。
中に横たわる全裸の女......気を失ったままの流璃子だった。
「さあ、姉貴はあそこだぜ...兄貴。クックック......」
サルガタナスの指の先の寝台には確かに女が臥しているようだった。
「兄貴が遅いから眠り込んでるんじゃねえか...?クックック...」
よろめくようにふらふらとベッドに近づくアスタロト。鼓動が破裂しそうに高鳴っている。

流璃子はふと眼を覚ます。ぼんやりと天井を見つめる。徐々に戻ってくる意識。
「ここは...どこ?私は...デビルサイダーに襲われて...」
流璃子は全裸でベッドに横たわっているのに気づく。不思議に恐怖はなかった。やがて、天蓋から
垂れる薄絹をかき分けようとしている男の姿に気付いた。

アスタロトは薄絹をそっとかき分ける。寝台の主が眼を覚まし、半身を起こしたのに気付く。薄絹
の中に体を入れ、膝立ちでベッドに乗る。愛しい人の姿を見て、その名を呼ぶ。
「姉さん...!」

「流璃子...!」
霊気が呼び掛けてくる。
(良かった...霊気が助けてくれたのね...もう、何も怖くない...)
「霊気...!」
流璃子が両腕を差し出す。

「アスタロト...!」
リリスが両腕を差し出す。愛情に満ちた眼差し。アスタロトは確信の歓喜に身を震わせてリリスの
体を抱きしめる。
「ああ...!姉さん、姉さん!愛してる...!」

「流璃子!愛している...!」
霊気の激しい抱擁を受け、流璃子も両腕を霊気の背に回す。
「霊気...!ああ......私も、私も愛してるわ...!でも...私は汚れた体なの...デビルサイダーや行仁和
尚様や鶚さん達に辱められて......こ、こんな私を...許してくれるの?」

「サタンに辱められた......こ、こんな私を...許してくれるの?」
リリスが悲しそうに囁く。
アスタロトは一層強くリリスを抱きしめる。
「姉さんは汚れてなんかいない!もし...もし汚れたと感じているのなら...僕が清めてあげる!姉さ
んの全身を!何もかも!」

「俺が清めてやる!流璃子の全身を!何もかも!」
流璃子が随喜の涙を流す。
(ああ...信じて良かった...。霊気。霊気...愛してる!)
熱い口づけを交わす。二人の舌が、唾液が絡まりあう。
霊気が流璃子を優しく横たえる。うっとりと眼を閉じる流璃子。霊気は、そんな流璃子の全身を見
つめ、やがてつま先にそっと口づける。

「クックック...見ろよ、霊気ちゃん...。いいなあ、愛し合う二人の姿ってのはよう...」
サルガタナスが達磨になった霊気の側で嘲笑する。霊気は顔を強張らせ、信じられないものを見て
いた。エデンと記された豪奢な寝台。その中で、流璃子とアスタロトが愛し合おうとしている。
「馬鹿な...!何のまやかしだ、サルガタナス!」
「クックック...まやかしなんかじゃねえのは判っている癖によう、霊気ちゃん......あの流璃子が幻
やニセモノに見えるかい...クックック...」
確かに霊気には判っていた。あれは本物の流璃子だ。俺が全身全霊で愛している...。だが...あ、あ
れは一体どういうことだ......!
「る、流璃子に何をした...!術を解け、サルガタナス!!」
「術...?クックック...どんな魔力を感じるってんだい、霊気ちゃん...」
確かに寝台には微かな魔力が感じられたが、最上級ゴッドサイダーである十天闘神の流璃子が、術
に捕らわれるほどのパワーはない。
「なあ、霊気ちゃん...いい加減現実って奴を受け入れろよ...。クックック...一目会ったその日から
恋の花咲くこともあるってやつをよ...」
「嘘だッ...嘘だあッ!流璃子に限って、そんな...!」
幼き日の誓いのキス。パズス戦でのキス。流璃子の瞳は潤んでいたはずだ...!
「だったら抵抗するはずだろう?じゃあ、ほら、近づいてよく見てみようぜ、霊気ちゃん...クック
ックックック...」
サルガタナスは嬉しそうに霊気の頭を掴んで一層ベッドに近づけていく。

エデンの中からは外界は全く眼に入らなかった。周囲を取り囲む桃色の薄絹しか目に映らない。一
切の音も伝わらない。
アスタロトが、リリスの足の指を一本づつ口に含む。丁寧に舌で転がし、爪先から指の付け根まで、
隅々をたっぷりと舐め尽くす。
「ん、んんッ...」
リリスがむずかるように身悶えする。アスタロトの舌は、やがて足の甲を這い、臑から膝へとゆっ
くりと這いのぼっていく...

流璃子は霊気から清めの儀式を受けていた。隅々まで触れていく霊気の唇と舌が、全身の汚れを拭
っていく気がする。
「ああッ...霊気...」
最愛の人の唇と舌が、太股を這い上がっていく。流璃子の秘園に近づく。
(恥ずかしい...今、そこに触れられたら...霊気に知られちゃう...)
処女のような羞恥に火照る流璃子の頬。流璃子は既に濡れそぼっているのに気付いていた。

アスタロトの唇は、じらすようにリリスの秘苑を避け、愛らしい臍へと向かっていく。
(まだだ...姉さんの全身を清めるまでは...)
己の欲望を必死に押し殺すアスタロト。時間をかければかけるほど、リリスへの愛がより一層深ま
っていく。鳩尾を吸う。
「んあッ...アスタロト...あッ...はッ...」
甘いリリスの吐息が熱い。
(ここもだ...ここも後だ...)
アスタロトは乳房の責めも避けて、リリスの体を裏返しにうつぶせる。

じらすように霊気の唇と舌は、流璃子の急所を避けていく。うつぶせにされた流璃子は、再び霊気
が足下まで降りていくのを感じる。やがて霊気の唇が踵に落ちる。口に含まれ、舌が這い回る。
「あんッ...霊気...ま、また...」
再びじわじわと登っていく霊気。ふくらはぎが、膝の裏が吸われる。
(...まさか...霊気...)
太股を彷徨う霊気の唇に、一瞬流璃子が恐怖を感じる。
(ま、まさか...あそこを...狙っているの...?
だが霊気は、双臀の狭間にある秘密の蕾をすり抜け、流璃子の脊髄を這っていく。背骨の一本一本
に口づけを注ぎ、舌が上下する。快感が流璃子の背中を駆け抜ける。
「はッ...あッ...あんッ...んあッ...んんッ...」
枕に顔を埋めながら、喘ぎ声を隠すことができない流璃子。シーツをつかみしめる両手に力がこも
っていく。

アスタロトはリリスの喘ぎを天上の音楽のように聞く。まるで楽器を奏でる演奏家のように、アス
タロトはリリスを自在に操っていく。両肩に口づけた後、アスタロトはリリスの腋下に忍び寄る。
「!...あッ...そ、そこは...」
慌てて閉じようとするリリスの腕を優しく掴んで動きを止めると、アスタロトはリリスの腋の白い
くぼみに口づける。顔をもみ込むように擦りつけていく。
「駄目ッ...そ、そんなことしちゃ、駄目...」
羞恥に頬を火照らせたリリスが、激しく顔を振る。構わずリリスの甘い芳香に酔いしれるアスタロ
ト。やがてもう一方の腋下をも征服してしまう。
「あはッ...や、やあ...んんんッ...いやあッ...」
拒否の声が弱まる。甘美な海に溺れていくリリス。アスタロトの舌は細いうなじを這い回り、
豊かな髪に顔を埋め、両手で愛撫を加える。ため息とともに横を向くリリスの唇をすかさず奪う。
「んふ...んん...むむう...ううん...」
濃厚なディープキスにリリスが陶酔する。アスタロトはゆっくりとゆっくりとリリスの体を仰向け
に戻す。アスタロトの手が、リリスの豊かな乳房に忍び寄って行く。

流璃子は霊気の舌に翻弄されながら、両の乳房が霊気の両手に覆われていくのを感じる。優しくも
みほぐすような動きに陶然となり眼を閉じる。
(ああ...霊気...素敵よ...)
霊気の唇がゆっくりと流璃子を解放する。熱い吐息が漏れる。が、次の瞬間流璃子の唇は再びせわ
しない喘ぎ声を発することになる。
霊気の唇が流璃子の乳房を熱く覆う。幼子のような熱情で乳嘴を含む。吸う。舌でなめ回す。乳首
を転がす。歯で甘噛みする。
次々と加えられていく刺激に、たまらず流璃子の体がのけぞる。弓なりになった細くしなやかな体
をがっちりと抱きしめながら、霊気は乳房を責め続ける。流璃子の両腕が霊気の頭を抱く。

「ほおうら霊気ちゃん...愛し合う二人の姿をよっく見ろよ...美しいねえ...クックックックック」
サルガタナスに髪を捕まれ、ベッドのすぐ側まで運ばれた霊気。驚愕の光景から眼を離せない。流
璃子がアスタロトの愛撫を一身に受け容れ、喘いでいる。流璃子は抵抗を示すどころか、愛しそう
にアスタロトと口づけ、優しい抱擁を繰り返している。
(ど、どういうことなんだ、流璃子...本当に...本当にアスタロトに心を奪われたのか...?)
噴き出す涙をものともせず、食い入るように眼前の光景を見つめる霊気に、サルガタナスの唇がに
やりと歪む。
(...クックックックック...もう一押しか...)

サルガタナスの寝台・エデン。それには、人に見たいものを見せ、聞きたいことを聞かせる機能が
あった。霊気を待つ流璃子とリリスを訪ねたアスタロト。二人はそれぞれ互いをはっきりと見なが
らも、自分の願望を投影して愛しい人と取り違え、疑うことなく愛を刻みあっている。
それとも、流璃子の霊気への愛と、アスタロトのリリスへの愛の深さが引き起こした奇跡だったの
か......

(エデンとはよくぞ名付けたぜ...クックック...奴にはユーモアのセンスもあったのか...)
想像以上の効果に上機嫌のアスタロト。再び霊気をいたぶり始める。
「ほらほら霊気ちゃん...いよいよアスタロトが流璃子の股間に迫っているぜ...辛いなあ...悔しいな
あ...寝取られ男ってのはよお...クックック...それとも霊気ちゃんはまだ流璃子を抱いてないのかな
あ...」
サルガタナスの揶揄も霊気の耳にはほとんど入らない。霊気は目前の光景に完全に心を奪われてい
る。

「あッ...だ、駄目ッ...そこは...」
リリスは羞恥に顔を染め、両の太股を開こうとするアスタロトの腕に弱々しく抵抗する。両手で顔
を覆う仕草が初々しくも愛おしい。
「姉さん...最後だ。ここを清めれば、姉さんはもう完全に僕のものだ......」
言い聞かせるようにしてアスタロトがリリスの膝を割っていく。

「ここを清めれば、流璃子は俺のものだ......」
その言葉に感動の涙をこぼす流璃子。
(...ああッ...私の汚れた体が...霊気に清められる...私はもう霊気だけのもの...)
「お、お願い...霊気...清めてッ...私を清めてッ...!」
霊気の熱い唇を感じ、流璃子の顔が大きく仰け反る。

(...ああ、ここが姉さんの...夢にまでみた...)
アスタロトは忘我の境地で、リリスの秘苑に顔を埋め、顔全体でリリスを味わう。鼻が、唇が、舌
が、秘めやかなリリスの秘裂に侵入していく。リリスの愛液がアスタロトの顔をぐっしょりと濡ら
していく。
(...こんなにも...こんなにも姉さんは僕の事を...)
アスタロトは感動で胸を一杯にしてリリスの愛を貪り飲む。
ひときわ高く淫らな音が、天蓋の中に一杯に広がる。

「あッ...あッ...霊気ッ...霊気いッ...あああんッ...」
激しい霊気の愛撫。流璃子の呼吸が荒い。途切れ途切れに上げる喘ぎは、全て霊気への愛に満ちて
いる。
(霊気...こんなにも...こんなにも私の事を...)
霊気の指が侵入していく。襞の一本一本をなぞるようにゆっくりと動く。
「はッ...はあッ...ああんッ...んあッ...!」
くちゅっ、くちゅっと霊気の指の動きに合わせて肉擦れの音が響く。その淫らな音がさらに流璃子
の官能を高ぶらせていく。
「れ、霊気ッ...だめッ...許してッ...も、もう...い、いっちゃうッ...!」

リリスの妙なる調べに夢中になって指を操っていたアストロトは、愛の呻きを聞いて、指使いを一
層激しくする。
「いいのかい、姉さん...?いっていいよ...何度でもいって...」
「あああッ...か、堪忍...そ、そんなにされたらッ...!」
アスタロトが桃色の肉芽に口づける。激しく吸いながら、秘裂に差し込んだ二本の指をさらにかき
立てていく。
「ああんッ...アスタロト...いくッ...いっちゃうッ...あああああッ...!!」

官能が脊髄を駆け抜ける。全身を弓なりに硬直させた流璃子は、完全にエクスタシーに溺れ込む。
ぴんと伸びた爪先が震える。秘苑からは溢れ出す夥しい愛液を、霊気は残さず啜り込もうとする。
ジュルッ...ズズズッ...ジュルルッ...
失神寸前の流璃子の耳に響く淫靡な音。流璃子は絶息するような熱い吐息をつくと、がっくりと顔
を横に伏せる。静かに流璃子をうつぶせにする霊気。その後、霊気の唇は突如、無防備な秘裂の下
の秘蕾に忍び寄っていく。陶然としていた流璃子が愕然とする。

「だ、駄目ッ...そこは...そこはやめてッ...」
アスタロトの口づけを秘蕾に感じ、リリスが激しく狼狽する。
「そ、そんな汚いところ...、やめてッ...アスタロトッ...」
「汚くなんかない...姉さんに汚いところなんて、ないっ...!」
怒ったような口調でアスタロトが断言し、再び蕾に口づける。すぼまりに舌が侵入しようとする。
「ああッ...こ、こんなッ...いやッ...お、お願い、アスタロト...」
抵抗する力が出ない。漲っていく異様な快感にリリスがおびえる。
「そ、そんなことされたら私...私ッ...あああッ!」

蕾を吸われ、舌がこじ入れられる。初めての異様な快感に流璃子がのたうつ。シーツを掴み締める。
「あああッ...霊気ッ...霊気ッ...!」
流璃子がもはや自分が抵抗しているのか、懇願しているのか判らなくなる。
ひたすら霊気への愛が高まっていくのを感じる。
狂おしい時間が過ぎる。肩で息をつく流璃子。霊気がようやく解放してくれた秘蕾がひくひくとわ
ななく。
霊気は、流璃子の再び流璃子の肢体を仰向けにする。両膝を割り、体を双脚の狭間に差し入れる。
流璃子の両の太股が、霊気の体を挟み込む。
「流璃子...さあ...一つに...一つになろう...」

「ああ...アスタロト...来て...」
夢にまで見たリリスのその言葉。アスタロトの興奮は最高潮に達する。脈動する熱い肉棒ははち切
れんばかりにそそり立っている。
「姉さん...いいんだね...ほ、本当に、いいんだね...」
何度も確かめる。
「来て...早く...お願い...」
リリスのうわごとのような答えがアスタロトを有頂天にさせる。アスタトロは腰をゆっくりと沈め、
狙いを定めていく。

(...ああ...入ってくる...霊気が入ってくる...)
霊気の猛りが秘裂に押しつけられるのを感じる流璃子。両腕を霊気の肩に回し、しがみつく。
(私...私は...霊気に許されるのね...うれしい...)
次の瞬間、霊気の先端が流璃子の中に侵入を始める。
「ああああッ...!!」
自分でも驚くほどの官能の塊が押し寄せ、流璃子は絶叫する。首が大きく仰け反る。
「流璃子...すごいよ...こんなに熱く締め付けてくる...」
霊気も流璃子のたっぷりと潤んだ肉壺の蠱惑に陶酔する。さらに快感を引き出すべく、一層腰を落
として流璃子の奥深くに押し進む。
「ああッ...んああッ...あ、熱いッ...」
胎内を全て霊気に満たされる流璃子。その部分は、まるで一つになったかのように深く深く繋がる。
欠けるところなく満ち足りた思いが、流璃子の心を一杯にしていく。
やがて、ゆっくりと律動を開始する霊気。
ズン...ズン...ズン...ズニュ...グチュ...
たちまち溢れ出した流璃子の愛液が、大きな肉擦れを響かせる。
「ああッ...い、いやあッ...も、もうッ...もういっちゃいそうッ...!」

リリスが早くも悦楽の絶頂を訴え始める。
「いいよ...姉さん...いって...何度でも...」
リリスを自分のものにした感動に、アスタロトもたちまち高ぶっていく。段々早くなるアスタロト
の律動に合わせて、リリスの肉襞も絡みつき、吸い込もうとして蠢動する。
ズリュッ...グニュッ...グチュッ...ズチュッ...
「あッ...あッ...あッ...あああんッ...いいッ...アスタロトッ...いいのッ...!」
快感を訴えるリリスの唇。愛らしい舌が覗く。アスタトロは思わず唇を重ね、舌を絡ませていく。
「むうんッ...むむうッ...んんんッ...んむうッ...」
顔を赤く火照らせ、鼻息を荒くして苦しげにリリスが呻く。アスタロトもその瞬間が近づくのを感
じる。唇を離し、背を弓なりに仰け反らせる。
「ね、姉さん...ぼ、僕も...僕も、もう...!」

絶頂の訪れを告げる霊気の切迫した声。流璃子も一気に駆け上っていく。
「ああッ...いくッ...いっちゃうッ...霊気...!」
唇を噛み、耐えようとする。
「お願いッ...霊気も...霊気も一緒にッ...!」
「ううッ...流璃子ッ...一緒に、一緒にいこう...!」
霊気が最後のスパートに入る。腰のスライドが大きくうねる。
ズチュッ...グチュッ...グリュッ...ズリュッ...
「いくッ...いっちゃうッ...霊気ッ...!」
おびえたように顔を左右に振る流璃子。ほつれた髪が頬にかかる。
「流璃子ッ...流璃子ッ...俺もッ...もうッ...!」
「お願いッ...中にッ...中に頂戴ッ...!」
絶頂が二人に訪れる。
「霊気ッ...霊気ッ...あああああああッ...!!」
腰を跳ね上げる流璃子。ブリッジのような体勢。
「流璃子ッ...流璃子ッ...おおおおおおッ...!!」
上半身を大きく仰け反らせた霊気が弾ける。
熱い樹液が迸る。それは流璃子の膣内を走り抜け、子宮を一杯に満たしていく。
「あはあああ......」
流璃子が全身の力を使い果たし、ベッドに崩れ落ちる。同時に霊気も流璃子に覆い被さるように倒
れ込む。二人はひしと抱き合い、熱い口づけで官能を伝え合っていく。

「う、うああああッ...流璃子ッ...流璃子ッ...ああああッ...」
アスタロトの全てを受け入れた流璃子。目の前で流璃子を奪われた悔しさ。何もできない無力さ。
そして恐ろしいまでの嫉妬の炎が霊気の心を焼く。苛む。切り刻んでいく。
「クックック...感動だねえ、霊気ちゃん...」
もはやサルガタナスの嘲弄も霊気の耳には届いていなかった。ごうごうと沸騰したような血液の奔
流だけが耳に響き亘る。霊気の精神が、ゆっくりと暗黒の奥底に堕ちていく。全ての感覚を失い、
それでも視線だけはエデンの二人に釘付けになっている。
「クックック...もう少しだな...二人がとどめを刺してくれるか...」
サルガタナスもエデンに視線を転じる。ベッドに沈み込んでいた二人に動く気配がみえた。

「ねえ、アスタロト...私、あなたに...『初めて』をあげたい...」
抱きしめていた腕をゆるめてリリスが囁く。
「え...?」
まだ全身を覆うけだるい快美感に朦朧とするアスタロトが聞き返す。
「ありがとう...私を清めてくれて。生まれ変わった気がする...でも私、あなたに何のお礼のできな
い。唇も、胸も、あそこも...全てあの人に...サタンに奪われてしまったの...」
「そんな...僕は...僕は、姉さんの愛を知っただけで十分だよ...」

「...でも...でもね、霊気...たった一つ、まだ誰にも許していない部分があるの...」
そこまで言って流璃子が頬を染める。霊気の視線を逸らした瞳がいじらしい。
「そ、その...あなたが良かったらだけど...わ、私の...う、後ろは...ま、まだ誰も...」
蚊の鳴くような声で呟く。霊気が流璃子を再びきつく抱きしめる。
「流璃子...いいのか...」
「ええ...霊気さえよければ...わ、私の後ろの...しょ、処女を...いやあッ...」
あまりの羞恥に最後まで口にできない流璃子。
「わかったよ、流璃子。お前の処女を受け取ろう...」
耳に熱く囁く霊気の声。流璃子の体がゆっくりとうつぶせにされる。

両手と両膝をベッドにつけたリリス。腰を高々と上げさせられる。アスタロトは、淫裂からにじみ
出る愛液と精液の混合液を、双臀の狭間の秘められた蕾に塗りたくる。アスタロトの指が触れるた
びに、ぴくっ、ぴくっと震える蕾が可愛い。アスタロトはゆっくりと指を差し込んでみる。
「ううッ...」
押し殺したような悲鳴がリリスの唇から漏れる。
「だ、大丈夫?姉さん...」
やや狼狽して尋ねるアスタロト。
「え、ええ...ちょっとびっくりしただけ...続けて...」
「う、うん...」
アスタロトの指が緩やかに開店する。壊れ物を扱うように優しく、だが着実に指は奥へと侵入を続
ける。
「んんんッ...あふッ...はああッ...」
リリスの声が次第に甘さを増していく。アスタロトの指は第二間接まで埋め込まれていく。
「んふッ...あはあッ...お、お願い...アスタロトの...アスタロトの太いのを...頂戴...」

「わかったよ、流璃子...流璃子の処女を...貰うよ...」
指を抜いた霊気が、がっちりと流璃子の腰を掴む。再び猛りだした肉棒を、流璃子の淫唇に擦りつ
ける。先走りの液はすでに先端をしとどに濡らしていた。
「いくよ...流璃子...」
やがて霊気の一物が、蕾に押し当てられる。
「ひッ...!」
指とは比べものにならない太さのものが、ゆっくりと蕾を押し広げていく。恐怖と苦痛が流璃子を
襲う。流璃子は耐える。歯を食いしばり、背骨を弓なりにし、全身から脂汗を流しながら、霊気の
ために我慢する。
「う、うあああッ...くふうッ...ふああッ...」
先ほどとは違う流璃子の苦悶の声に、霊気はためらう。
「大丈夫か、流璃子?お前が嫌なら......」
引き抜こうとする霊気を引き留める流璃子。
「い、いいの...続けて...愛しているわ、霊気...」
「お、俺もだ、流璃子...!」
やがて霊気の男根が全て流璃子に飲み込まれる。頭を振り、腰を震わせて必死にその体位を保つ流
璃子。しかし、やがて苦痛以外の感覚が徐々に流璃子を包んでいく。
「んんんッ...あ?...あはあッ...あんッ...ああッ...ああんッ...」
流璃子の腰が悩ましくうねり始める。感じているのに気付いた霊気が、ゆっくりとピストン運動を
開始する。
「あッ...ああッ...あふッ...はああッ...はああんッ...」
次第に高まる甘美な感覚。
「あ、ああんッ...お、お尻で...お尻でこんなに感じるなんて...いやああッ...!」
「凄いよ、流璃子。食いちぎりそうにきつく締め付けてくる...。す、素晴らしい処女だ...」
「ああッ...言わないでッ...言わないでッ...あはああッ...あんんッ...んんんッ...」
流璃子の秘裂からはとめどもなく果汁が溢れ出す。

アスタロトはリリスの締め付けで爆発寸前だった。背後から覆い被さる。リリスの肩を強く掴みし
める。アスタロトは、リリスにしがみつくような姿勢で、腰の律動を早めていく。
「ああんッ...あッあッあッ...んあああッ...はああんッ...」
リリスの甘い喘ぎが切迫していく。
「ね、姉さん...僕、僕もう...」
「いいのよ。いって...私の中で...おいきなさい...」
優しいリリスのささやき。しかしすぐに高い喘ぎ声に変わる。
「んんッ...ああんッ...かはッ...い、いくッ...私もいっちゃうッ...!」
「ね、姉さんッ...姉さんッ...!
最後のスパート。
「あ、アスタロトッ...アスタロトッ...ああああああッ...!!」
「ね、姉さんッ...うああああッ...!!」
アスタロトの腰が弾ける。流れ込んでくる白濁液をリリスははっきりと感じる。蕾が痙攣し、上体
を支えていた両腕が崩れ落ちる。意識を失っていくリリス。アスタロトはリリスの腰をしっかりと
支え、最後の一滴までも注ぎ込んでいく。
「姉さんッ...姉さんの処女が...ぼ、僕のものに...」
どこまで墜ちてもいい...アスタロトもまた、あまりの快絶感に気を失い、リリスの上に倒れ込んで
いく。

「クックック...おいおい、流璃子はケツまで兄貴に捧げちまいやがったぜ...究極の愛ってやつかあ
...なあ、霊気ちゃ...?!」
サルガタナスの嘲弄が途中で止まる。
霊気は全身を激しく震わせている。目から噴き出す涙は血に変わっていた。食いしばる口からも鮮
血がしたたり落ちる。
霊気は意識を失っていた。いや、限りない喪失感に蝕まれた意識は、果てしなく深い精神の奥へ奥
へと墜ち続けていた。ついに霊気の意識が暗黒の底に到達する。純粋な欲望のマグマが沸騰するそ
の中に、霊気の精神が激突する。
(...流璃子...俺の愛...俺の生き甲斐...俺の全て...失った...何もかも...俺はどうすればいい...)
欲望のマグマに溶けていく霊気の意識。
(...いらない...流璃子の愛がない世界など...せかいなどいらない...イラナイ...コワシテシマエ...ナ
ニモカモ...!!)
どす黒い純粋な破壊の欲望が霊気を包み込む。霊気の欲望のマグマは爆発し、果てしなく精神の上
方に向かって噴出していく。

「やったか...!予想以上のパワーだ...おい、出番だぜ...!」
ドムゴオォォォ......!!
宇宙空間が映っていたサルガタナスの半身から、異形の姿が現れる。
「呼んだか...サルガタナス...ほほう、これは...」
「やべえくらいだろう?ゴッドサイダーの連中のど真ん中にでも送ってくれ...」
「...引き受けた...」
魔神の巨大な腕がサルガタナスの体から伸び、霊気の体を掴もうとする。一瞬、黒い電撃が走り、
魔神の腕がびくっと引かれる。
「むうっ...?」
が、再び伸びた魔神の腕が、今度は霊気をがっちりと掴む。
「驚いた...凄まじい力だな...確かに急いだほうがよかろう...」
霊気の体がサルガタナスの半身に飲み込まれる。
サルガタナスは、再びエデンに倒れ伏した二人に視線を向ける。
「クックック...いい気なもんだぜ...てめえらの愛ってやつがどんな結果をもたらすかも知らねえで
...」
サルガタナスが哄笑する。
「クックックックック...俺の野望がついに...ついに果たされるのか...!さあ霊気...破壊しろ...この
糞ったれな世界の全てを破壊し尽くせ...新たな俺の世界のために......!!」

......その声が、捏造された純愛に溺れ切った二人に届くことは決してなかった......

(了)

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