ハルパスのネタ帳 07章21頁

題名:ハルパスのネタ帳

~いかにしてボクはお仕置きされたのか~2

 ボクが気付いた時、そこは魔法陣地下の牢獄だった。曖昧な記憶を巻き戻す、流石の頭脳
明晰なボクも怨霊魔鬼雨とやらでどこが頭やら判らないほど粉々にされてしまってはその頭
脳を発揮することなどできはしないのだから。
「おかえりなさい、ハルパス。気分はいかがですか?」
 胡乱な意識を一気に覚醒させる声。
「ハハー!ベルゼバブ様、ありがとうございます、気分は蝶・爽快、今すぐにでも裏切り者
のブロケルを上も下も後ろも満タンにできるくらいに美凪ってございます」
 無意識に踵を合わせて指揮官たるベルゼバブ様を向き直る。
「それを仕舞いなさい。あと蝶とか美凪とか言うな」
 心なしかベルゼバブ様のツッコみが冷淡で、どことなく背筋を凍らせるような迫力を含ん
でいるような気がした。何故かしら、パラケルスス医師の眼差しも戦いに赴き傷付いて帰還
した仲間に寄せるものとは違って見える。ボクは何か失態を演じただろうか?鬼哭霊気に敗
北したことがそうだとするのなら、それを見殺しにしてくれたブロケルの方が...そうだ、
ブロケル!何ということだ、ボクとしたことが忘れていた。今ボクの目の前にはっ!
「何か勘違いしているようですね、ハルパス。貴方を治療した目的は、鬼哭霊気さんの情報
を聞き出すことと、ブロケルのお仕置きを手伝わせることと、そして貴方自身の...人の
話を聞きなさい!」
 目の前に繰り広げられる光景。あの日、フォラス将軍とともに地獄通りに旅立つ前日に出
会ったまじかるすうぃーてぃ♥ボクの永い生涯のは彼女で抜くためにあったのではないかと
思うほどの極上のズリネタ、ブロケル。彼女が今ボクの目の前で肌を晒し、あまつさえ髑髏
ぱんつで何度も何度もボクの目の前でイキ続けている。紅潮した肌をてらてらと輝かせる汗
や床に広がるもろもろのない交ぜになった体液のにおいすらわかるような距離で。
「ぶ、ブロケル!ブロケル~!!」
 この機会に抜かずにいつ抜くというのだ。たゆんたゆんと揺れる乳房、達するたびに震え
る双臀、蕩けたような表情と切羽詰った喘ぎ声、芳しい体液のにおい、を゛~、これなら1分
だ!1分でイケるっ!腰の裏側から甘美な痺れが駆け上がってくる、握り締めたボクの高貴
なる股間の紳士にチャーグノレ!チャーグノレってなんだ?ボクもよく判らない、とにかくイク、
イこう!震えるぞチソコ!萌え尽きるほどヒート!

 ぶびゅるっ!びゅ、びゅびゅーっ!

 ハルパスが腰を突き出して夥しい量の白濁液を放つ。それはブロケルの太腿から腹にまで
吹き上がりその体を汚した。焦点を失いかけながらもブロケルの瞳はハルパスへの嫌悪と蔑
視の入り混じった苛烈な光を放つ。だが、ハルパスにとってはそれすらも劣情を掻き立てる
ものでしかない。萎えることなくそそり勃つそれ。見下ろすブロケルの眼差しに、また違っ
た感情の微粒子が入り混じる。それは恐怖と、そして、ハルパスがもう一度それを握り扱き
たてる、その動きにぞわりと毛穴が開いたのは如何なる感情によってであったか。
「ブロ...けっ!?」
 だがしかしその動きは、ベルゼバブが無造作に放り投げた愚者の石版が後頭部にめり込ん
で止まった。もしかして永遠に止まるのではないかと思うほどの勢いだったが、流石に先の
パラケルススの髭ドリルの轍は踏まない。顔面を牢獄の冷たい床にコスりつけながら激しく
壁に体当たりしつつも、ハルパスの意識は辛うじて断ち切られずに保っていた。
「ハルパス、次にやったら脳にハエを寄生させますよ」
「も、申し訳ござゐ魔戦」
 ある意味では怨霊魔鬼雨を食らった直後や髭ドリルを喰らった直後よりも苦痛に苛まれな
がら(意識が明晰なので)も、何とか居住まいを糺す。
「ハルパス、貴方をわざわざここで治療したのは他でもありません。貴方にも当然お仕置き
が待っていますよ。敗戦の責は負っていただかなければなりません」
 感情を読み取れない表情でベルゼバブが告げ、指を鳴らす。じゃらり、と派手な音がして
ブロケルを吊り下げていた鎖が緩んだ。手枷の縛めは依然として彼女の自由を物理的に奪い、
そして髑髏ぱんつは物理的にも心理的にも彼女の自由を制約している。紡ぐ言葉と、目の前
で繰り広げられる事態が重ならない。流石のハルパスも底抜けなご都合主義を発揮するわけ
にもいかず、未だ萎えることなく性欲をもてあまし続けるその姿のままで直立不動を保ちつ
つ、司令官の言葉を待った。
「さて、どうですか、私の特製髑髏ぱんつの味は」
 倒れ伏したブロケルは粗い息をつきながら、びくんびくんと腰を痙攣させている。未だ彼
女の胎内に収まった張り型は唸りを上げて蠕動し、ぐちょぐちょと湿った音を立てて拷問に
も似た快楽を吐き出し続けていた。
「口も利けないほど気に入っていただけるとは光栄ですよ、しかし、これで終わりではあり
ません。そろそろ新しい志向を凝らしたお遊戯を楽しんでいただきましょう」
 視線を再びハルパスに戻し、指を鳴らす。天井から、手枷を繋ぐ鎖に並んでなにやら見慣
れないものがずりずりとぶら下がり、ぼてっと音を立てて地面に衝突した。
「ベルゼバブ様、これは?」
 一言で言えばそれは触手だった。先端はなんとも形容しがたい(ある意味一言で言い表せ
る)形状をしている。標準的なそれよりは若干細い感じがした。パラケルススも見たことの
ない触手に、純粋な好奇心を刺激され、眼鏡を直しつつ覗き込んだ。
「かなりの希少種という触れ込みで買ったのですが、パラケルスス医師が知らないのですか
ら、あながち嘘でもなかったようですね」
 その植物が触手から分泌する成分には催淫作用があり、男女問わずに強制的なオーガズム
と幻覚とによって虜にしてから、自らの分身を植え付けると言われている。
「ハルパス。命令します。その触手をブロケルの肛門に挿入しなさい」

 ボクは耳を疑う。本当にいいのだろうか?ボクはこれから懲罰を受ける身ではなかったの
だろうか。それがこんな素晴らしい形状の触手で、ブロケルの肛門を犯せと?
「どうしました、ハルパス。あなたが夜毎ブロケルをおかずにぶっこいているのを知らない
とでも思っているのですか?」
 その声色から感情を読み取ることはできない。皮相な笑みを浮かべた口元もまるでいつも
通り、ボクはもちろん、そこで淫らな肢体を晒すブロケルも興味の対象ではないとでも言い
たげに。ボクはしかし、混乱した意識を追いやるように頭を振った。いいだろう、どんな懲
罰が待っていたとしても、今ここでブロケルの肛門に異物を挿入するボクの姿は一生得がた
いズリネタになる。例え生きて再びそれで抜くことがなかったとしても、それは今考えるべ
きことではない。天井からぶら下がる触手を握る、それはじっとりと生暖かく、いやに有機
的な脈動をボクの手に伝えてきた。
「ウゥ?ハルパス、や、止めて、そっちは...」
 ベルゼバブ様が一旦髑髏ぱんつの動きを止めたのも、精神的な責め苦の一環に過ぎないだ
ろう。ボクは冷めた分析をする頭脳明晰なボクを再度かぶりを振って追いやる。今のボクに
必要なのは、一度戦場に出れば見境無しの炎魔溶断火車で敵味方問わず弱いものは全て焼き、
敵に女がいたならその場でぶっこくという狂気にも似た猪突猛進。
「ごめんね、ブロケル、ベルゼバブ様の命令なんだよ。ククク...」
 透ける様に白い肌は桜色に発熱してじっとりと汗ばんでいる。もっちりとした手触りの尻
たぶを撫でるだけでボクの股間に熱いモノが溜まってくるのが判る。髑髏ぱんつに埋め尽く
された股間から滴った粘液を指に絡めて、すぼまったアナルに塗りたくると、そこはまるで
浅ましく快楽を求めるかのようにひくひくと蠢いた。これなら、すぐにも入りそうだった、
なんてやらしいんだ、ブロケル。君はボクを干からびさせるつもりなのかい?
「ちゃんと解さないと血がでますよ?別に構いませんが」
「その心配は無用のようですぞ。まるで欲しがるみたいにひくついてます」
「確かに。それでは、パラケルスス医師は例のあれを...」
 なにやら打ち合わせめいた会話を交わすベルゼバブ様とパラケルスス医師の声が耳を掠め
るが、ボクには最早どうてもいいことだった。触手の先端でブロケルのそこをグリグリと広
げながら、我慢できなくなって一物を握り、触手の動きと同調させるように先っちょをいじ
りまわす。異物に抵抗する括約筋が段々と脱力していくのは、触手の分泌する催淫成分が効
いているからだろうか。
「ヒィ、そんなの、無理よ、お願い、止めてぇ」
 ブロケルの哀願口調とは裏腹に、そこはゆっくりと触手を飲み込んでいく。ボクは息を呑
んだ。お尻の穴ってこんなに広がるものなのか。そして更に、ひくひくと中に誘い込むよう
に蠢き、腰をびくんびくんと震わせたブロケルの声が、すぐに艶を帯びた物に変わった。
「い、いやぁ、へ変になる、おかしくなるわ、だめぇ」
 涙と汗と涎に塗れた顔で、ボクを見上げて、だけどもう、『止めて』とも『抜いて』とも
言わない。お尻って気持ちいいのかなあ?しかしそんなことより。あれだけボクに侮蔑を隠
さなかったブロケルが、ボクに哀願し、そしてボクの手の動きに快感を堪えきれずに嬌声を
上げているなんて。ああ、今抜かないでいつ抜k...ああああブロケルブロケルブロケル
ゥウウウ!

 パラケルススが中座し、そこに残されたのは濃密に淀んだ快楽の残滓と、今まさに新しく
生み出されてブロケルを犯す快楽。そして行き場を求め空気に染み出すようなハルパスの欲
情。女性には興味がない(鳥は元から考慮の外側だった)ベルゼバブだが、退廃や堕落を好
む悪魔の側の人間としては、それは心地よい空気だった。
「ハルパス、その触手がしっかりと効果を発揮するのにはもう一つ触媒が必要なのです」
 触手がしっかりとブロケルの直腸に達したのを見計らって指を鳴らす。呼応した髑髏ぱん
つが唸りを上げ、今度は後ろを塞ぐ触手も並行してぐねぐねとくねり始めた。
「あ゛、かはっ」
 それと意識しないままに突き出されたブロケルの舌から涎が糸を引いて床に零れた。既に
髑髏ぱんつに膣内を散々に蹂躙され、本来なら炎症を起して痛みしか感じないほどの長時間
犯され続けているにも関わらず催淫成分のために苦痛を感じることはない。更に肛門という
未知の官能器官を侵略され、直腸の粘膜から別の催淫成分を吸収させられているとなれば、
最早それは快楽なのか苦痛なのか判らないくらいに強烈だ。
「お゛っ、お許しを...お願い、これ以上は、おかひくなりっ、ひぅ!あぁ!」
 ブロケルの言葉への返答の替わりにベルゼバブが行ったのは、髑髏ぱんつと触手の同時射
精だった。腰から背中をふいごのように波打たせながら強制された絶頂に咽ぶ姿に、ハルパ
スの股間にそそり立つ一物は幾度も放ったにも関わらず、未だ物欲しげに我慢汁を零す。
「その触手の効果を呼び起こすもう一つの触媒とは」
 ベルゼバブの表情が、少し変わった。皮相な笑みはいつしか、本当に楽しそうな笑みに。
つまらなそうに見ていた目の奥には、僅かながらも黒い炎が宿り始めている。ぺろりと唇を
一舐めしてから、ハルパスのそれを指差した。
「精液ですよ。ですが残念ながら前も後ろも塞がっていますから、そうですね、口を塞いで
おあげなさい」
 きょとんとして動きを止めたハルパス。一瞬見せた探るような目の光はしかし、即座に燃
え盛る情欲の前に溶けて消えていく。唸りを上げて膣内に射精し続ける髑髏ぱんつ、肉の壁
を挟んで隣の穴にねじりこまれて波打ちながら射精し続ける触手、その快楽地獄に喘ぐブロ
ケルの口を凝視したハルパスが固唾を飲み下した。

 細いあごを掴んで上を向かせる。最初は少し抵抗されたけど、炎魔溶断火車用の第二第三
の首を出して乳首を舐めさせたら大人しくなった。考えてみたらさっきまでオマ○コとお尻
は散々責められても胸は誰も責めていなかったから、感覚が新鮮なのだろう。ちなみに汗ば
んだ乳首の味は天上の果実、もとい、地獄の底に吹き溜まった瘴気のように甘かった。だが、
それよりももっと脳が甘くなれるもの目の前にある、ボクが突き出したそれから逃れるよう
にブロケルが顔を背けた。勢い余って頬に押し付けてしまったが、これはこれで柔らかくて
気持ちいい、こう激しくコスりつけて射精してしまいたい衝動にかられた。
「ブロケル、余り抵抗するなら耳から一匹ハエに入ってもらいましょうか?」
 恐怖と絶望に見開かれた目、だがそれこそ今更だった。例えばここでベルゼバブ様が、ボ
クにブロケルをレイプしろと言われても逆らえないのだ。本来なら直接姦るよりもネタにし
てぶっこく方がボクとしては美しいと思うのだけど、そう、逆らうわけにはいかないのだ。
まあそれよりも、だ。
「んぅむ、もごっ」
 唇を押しのけて、温かい口内に先端が包まれただけでボクは頭の中が真っ白になるほどの
圧倒的な快感に脊椎が抜き取られたようになってしまった。押し込もうとするボク、押し出
そうとするブロケルの舌、鬩ぎ合うようにしながらボクは押し上げられていく。くぐもった
吐息の熱、粘膜の湿った感触、何と言う快感だろう。
「ウゥ!ブロケル、ブロケルゥ!」
 我を忘れて腰を振る、喉の奥を突かれたブロケルが苦しそうに咳き込むけど、それくらい
で止まるボクの股間の紳士ではない。飲み下しきれなくなった涎とボクの我慢汁が口から溢
れてぼたぼたと零れていく様はなんて美しいのだろう。そして股間で唸りを上げる髑髏ぱん
つ、内側からじゅぼじゅぼと湿った音が漏れている。後ろにもぐりこんだ触手もびっくんび
っくんと波打ちながら直腸のなかで射精し続けている。何度目か判らない絶頂に体をこわば
らせるブロケル。ああ、髑髏ぱんつや触手、ブロケルばかりがイって、ずるいじゃないか。
ボクも射精したい、ブロケルの口の中にたっぷりと、袋に溜まっていたボクの分身達が堰切
って駆け登ってくる、を゛~、イキそうだ、ブロケルの口で、イカされるっ!

どぷっ、ごぷっ、ごぷっ

「クェエエエエエ!!」
 ハルパスが仰け反ってブロケルの頭を抱え込んで腰を痙攣させる。見ていて判るくらいに
脈打つ股間から、幾度も幾度も噴出す精液がブロケルの口の中に注ぎ込まれた。行き場をな
くしたそれの半分は飲みくだされ、もう半分は口の端から零れ、今なおブロケルを捉えて離
さない絶頂の残滓に震える乳房をぼたぼたと汚した。
「んっぐっ、ん゛っ、ごはっ、ぷぁあっ」
 ハルパスの腕から力が抜け、ブロケルの口が解放される。吐き出された男根は未だ萎える
ことなく、あまつさえ射精し続ける。びゅるびゅると間欠泉のように吹き上がる夥しい量の
白濁液。束の間の解放の間に酸素を求めて呼吸を荒げる口元に、窒息寸前の苦しみとそれで
も取り憑いて離れない快楽に汗と涙でくちゃくちゃになった顔に、すっかり乱れてなおその
艶は衰えることのない菫色の髪にふりかった。催淫成分で敏感になっている体には、その粘
ついた感触や温度、精臭までもが、快楽の焔を煽り立てるものでしかない。
「はぁっ...はぁっ...ベルゼバブ様、どうか、お許しを」
 驚くべきことにブロケルの理性はまだ決壊していなかった。嘆息したベルゼバブは指を鳴
らす。と、髑髏ぱんつの内側の張り型と肛門に挿さっていた触手は硬さを失った。最早開き
っ放しの花弁がひくつく度に、胎内に残っていた髑髏ぱんつの精液がごぽごぽと溢れて床に
水溜りを作る。後ろでもほぼ同じことが起きているだろうが、それはベルゼバブの方向から
はよく見えなかった。ハルパスは不本意半分、いよいよ自分の番かと覚悟半分で顔を伏せた。
「ところでブロケル、何か体に違和感は感じませんか?」
 ブロケルは蕩けてしまったような頭でベルゼバブの言葉をゆっくり反芻する。違和感と言
うなら全身違和感の塊のようなものだ。強制的に繰り返されたオーガズムの影響で意識は朦
朧、関節という関節には力が入らない。前も後ろも穴は開きっぱなしになっている様な感覚
がある。それなのに未だ体の芯には熾き火の様に残る快楽の残り香。そして、それを意識し
た時にはっきりとした違和感に気付く。
「ブ、ブロケル?それは一体」
 ハルパスが後ずさりブロケルを指差した。あるべきものがなくなっていく、そしてあるべ
からざるものが出現する、そんな絶望的な違和感。見たくもないのに、ブロケルは自らの股
間に視線を落とさずにいられない。そして、そこには。
「イヤァァアアア!!」
 ブロケルの絹を裂くような悲鳴。うろたえて意味もなく右往左往するフライドチキン、ブ
ロケルが両手で股間に現れたあるはずのないモノを押さえつけるが、進行しつつあるその変
化は止まらない。口元に手を当てて笑みをかみ殺すベルゼバブ。説明する義理はなかったが、
恐慌をきたしている者に対するネタ晴らしもまた愉悦。
 
『その植物が触手から分泌する成分には催淫作用があり、男女問わずに強制的なオーガズム
と幻覚とによって虜にしてから、自らの分身を植え付けると言われている』

 その分身とは他でもない。
「ホホ...立派なモノが生えましたね、ブロケル。清純ぶっても髑髏ぱんつや触手に全く
抗えなかったメスブタのあなたにはお似合いですよ、オホホ、オーッホホホホホ!」
 ベルゼバブのそれは哄笑であり、同時にまた歓喜の笑みでもあった。ベルゼバブの企図し
たブロケルへの懲罰。それはまさに。
 一体誰が知るであろう。ベルゼバブの執務室兼プライベートルームには『ブロケルちん娘
化計画!~ふたなりプリ○ュア~』と銘打たれたオフセット印刷の冊子がおかれていたこと
を。ベルゼバブがフォラス将軍と愛人関係にあったことは悪魔の側の人間なら誰でも知って
いる。だが、一体誰が知るであろう。普段から『女性には全く興味がない』と公言するベル
ゼバブが実はふたなりっ娘に性欲をもてあますという事実。
「いや、こ、こんなものがっ...しかも、どうして、熱いっ」
 ブロケルは思わず股間を両手で覆って体を丸めたが、その細腕では隠しきれぬ程の怒張は
太さと大きさを増すばかりだった。口をあんぐりと開けてその様子を見守るハルパス。その
様子が、ブロケルの身に起こっていることが幻覚の類ではないことを物語る。丁度そこに、
席を外していたパラケルスス医師が戻ってくる。
「お待たせいたしました、ベルゼバブ様...ウオ!?これは」
 その表情はハルパスが浮かべたものと大差なかった。だが、すぐに彼の悪魔医師としての
知的好奇心が勝ったようだった。
「これは一体どのような秘法を使われたのですか?応用すれば私のホムンクルスにも男性体
を作ることができるやも...いや、そんなことをする意味もないか」
「パラケルスス、研究熱心なのは結構なことですが、準備は整ったのですか?」
「は。いつでも」
「よろしい。では、ブロケル。条件次第では、今回の失態の追及はここまでにして差し上げ
ます」
 ブロケルの瞳が安堵に揺らいだ。問題は山積だが、少なくとも今ここで理性もなにもなく
なるまで拷問を受け続けることはなくなったわけだ。髑髏ぱんつだけならまだ少しは耐えら
れそうだったが、最後の触手肛姦は危なかった。催淫成分の効果もあるとは言え、まさか肛
門であれほどの快楽を感じてしまうとは思ってもいなかった。いずれせよ、これで、条件さ
えクリアすれば望みは見えてくる、次回出撃の機に乗じて神の側の人間達に帰順してしまえ
ば...ハルパスが何やら隣で喚きたてているが、彼にすれば次は自分の番なのだから無理
からぬことだろう。理解は出来るが同情する義務も義理もないのだった。
「条件、ですか?」
 問題はそこだった。
「ホホ、そんなに警戒しなくても簡単なことですよ」
 ベルゼバブが何故か上機嫌な笑顔で、これまた何故かブロケルとハルパスに交互に視線を
投げる。
「あなたが、それでハルパスをレイプするのです」
 余りに予想外過ぎる言葉に、ベルゼバブ以外の全員が意識の空白を覚えた。一瞬だったの
だろうか、それともそれよりも幾許かは長い時間だったか。最初に動いたのはハルパスだっ
た。悲鳴に似た声を漏らしてへたり込むが、何故かその表情には仄暗い愉悦が浮かんでいる。
ハルパスが取り乱して有耶無耶になるような展開も期待したが、この様子では無理そうだっ
た。しかしハルパスを?このハゲ頭の自己認識の誤ったとっちゃん坊やをか?自問するだに
吐き気を伴った嫌悪感がこみ上げてくる。だがその程度の感情的な嫌悪ならむしろ目を瞑る
べきだ、ここを切り抜ければブロケルの、いや『流璃子』としての未来がおぼろげながらも
見えてくるのだ。そう思っても尚、ここでベルゼバブに従ってハルパスを犯すのは抵抗が強
かった。僚友と思ったことなど一度もない。彼の尻がどんな惨状に陥ろうと同情など全くす
る必要もない。抵抗の理由はそういうことではない。強いて言うなら勘、理由付けをしよう
と思うのなら本来の巫女としての能力に基づく直感。今ここでそれを行ってしまったら...
そんな正体不明の忌避にも関わらず、股間にそそり勃つそれは勢いを失うことがない。
「まあ、そこでブロケルが躊躇するのはわかっていましたよ。ですがそっちの快感も一度覚
えてしまえば病み付きになりますよ。パラケルスス」
「は」

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