「ADVENT」

題名:外伝「哀なる愛の華」

外伝「哀なる愛の華」4

  姫香は完全に堕ちた。
  すべての意識が崩壊し、ばらばらに砕け散っていく。恐るべき麻薬は、粉々にな
った姫香の意識の破片を組み立て直して、もう一つの、全く別の人格を形成してい
く。生まれ変わった新しい姫香が目覚める。口元に浮かぶ妖艶な微笑。
  やがて、美しくも淫らな靡獣と化した人妻と、巨大で醜悪な怪物による凄まじい
愛欲の交歓劇が始まる。それは、気品に溢れ、貞淑で清楚だったかつての姫香を知
る者にとっては、まさに地獄絵図としか言いようのない光景であった。
  「ぐふふふふふ...」
  抱擁を待ちきれずに悩ましく身悶える姫香の両腕を拘束していた細引を、汰狼が
ほどいていく。両腕の拘束が解かれると、ゆっくりと上半身を起こした姫香が、妖
しい微笑みを浮かべて汰狼にすり寄っていく。霞がかかったように煙り、鈍く光る
大きな瞳には瞳孔が大きく広がり、焦点の合わない視線を彷徨わせている。
  「ぐひっひひひひ...」
  汰狼が姫香を強く抱きしめてほくそ笑む。既に全身が性感帯と化した姫香は、汰
狼の手指が蠢くたびに切なげな喘ぎ声を放つ。
  「ひっひひひっ...ひ、姫香ぁ...」
  汰狼が唇を求める。すかさず甘美な唇を汰狼の唇に合わせていく姫香。くなくな
と愛おしげにすりつける。そして、果実のように可憐で瑞々しい舌を自ら汰狼の口
中に差し入れていく。
  寝台の上で互いに膝立ちになり、顔を激しく振り動かしながら唇を貪り合う二人。
愛し合う夫婦のためだけのものだった寝室で、身の毛もよだつほどに嫌いだった男
に激しく淫らにしがみついている。その強烈な背徳感に酔い痴れる姫香。やがてゆ
っくりと汰狼が姫香を横たえると、両腕と触手を使った淫靡な愛撫を開始する。
  「あはあ...汰狼さん...素敵よぉ...ああ...もっとぉ...」
  「ぐっふふふふふ...たっぷり愛し合おうぜえ、姫香ぁ...」
  「あああん...うれしい...うふっ...あふう...あはああん...」
  淫らな睦言を言い交わす二人。汰狼は姫香の両腕を掴んで頭の上に重ねさせると、
白く美しい両の腋を改めて露わにさせる。
  「ぐひひっ...姫香ぁ...じっくり検査してやるぜ...げひひっ...剛蔵の命令で腋毛な
んか伸ばしてたら、承知しねえぞ......きひひひひっ」
  短く縮めた触手をひくひくと動かして腋に押し当てて、深呼吸する。唾液をたっ
ぷりと含ませた大きく太い舌で舐め尽くす。
  「あはああん...は、恥ずかしいっ...た、汰狼さんっ...姫香をそんなに虐めないで
ぇ...」
  「ぐひひひっ...たっぷり恥をかきな、姫香ぁ...よおし...こっちは綺麗に手入れし
ているようだな...そっちはどうかな...?」
  「ああん、いやあ...そ、そんなに姫香を、舐めないでぇ...」
  ざらざらとした不気味な舌で両腋を汚される。淫靡な刺激に震える姫香の高い嬌
声が寝室に響く。
  「ぐふっ...ぐふふふっ...」
  姫香のつんと形良く尖った可憐な乳首を蹂躙する汰狼。一方を唇で吸いたてなが
ら、もう一方は伸ばした触手に含んでしゃぶり尽くす。
  「くっ...はあっ...あはあっ...す、素敵よ汰狼さんっ...はああん...いいわあ...」
  「ぐひっ...思いっきり感じまくりやがって...まったくとんだ淫乱女がいたもんだ
ぜ、なあ姫香ぁ...剛蔵が見たら腰を抜かぜぇ...ぐききききき...」
  「あああん...お、お願い...あ、あの人のことは...言わないでぇ...んああ...かはあ
っ...」
  「くくくっ...この分じゃ、今度こそぬるぬるの濡れ濡れだろうな...きひひっ...」
  汰狼が姫香の身体が描く優美な曲線にそって手を下ろしていく。下肢が交わる部
分にある若草の原。その奥の泉に忍び寄る。
  「くっ...くくくっ...ぐあはっはははははっ...や、やっぱりだ...大洪水じゃねえか
姫香ぁ...みっともねえざまだぜっ...ぐあっははははははっ!」
  指先が温かな愛液に染まったことを確認した汰狼が、勝ち誇った哄笑を上げる。
さらに指先は花弁の奥深くに差し込まれていく。
  「くふっ...ああっ...た、汰狼さんっ...す、すごいわっ...はあっ...そ、そんなに乱
暴にしちゃ...」
  ぐっしょりと潤った秘めやかな花園を、汰狼の指が無惨にも荒々しく踏みにじっ
てゆく。
  「ぐげっ、けけけっ...こんなにはしたなく、びしょびしょにしておいて何言って
やがる...いいのかぁ?貞淑な奥様が、剛蔵以外の男の指でこんなになっちまってよ
う...くけけけけけっ」
  「ああッ...い、言わないでぇッ...あの人のことはッ...はああッ...」
  深々と差しこまれた太い中指がぐりぐりと回転し、時折くっと微妙に曲げられる。
そのたびに切なげな喘ぎ声を高く放っては仰け反る姫香。
  「くっくっく...きっついぜぇ...いい締まり具合じゃねえか姫香ぁ...剛蔵は幸せ者
よなあ...い、いや...ぐひっひひひっ...もう、お前の全ては俺のものなんだったなあ
......ほうれ姫香ぁ...新しいご主人様から、素敵なご褒美をくれてやるぜぇ...」
  やがて、挿入される指は二本になり、三本になる。子供を生んだとは思えないほ
ど狭隘な肉の通路を、無理やりに広げるように三本の指が責めたてていく。激しい
汰狼の指の動きに、身体ごと揺さぶられる姫香が、歓喜の悲鳴を上げる。
  「はああッ...そんなッ...あふッ...ふああッ...ああッ...もう駄目ッ...姫香ッ、い、
いくッ...いっちゃいますッ...」
  「くっくっくっく...ご褒美だと言ったろうが...思いっきり行くがいいぜ、姫香ぁ
...夫の留守中に咥え込んだ間男の指でなあっ...!」
  「ああッ...いくッ...いっちゃうッ...あ、あなたッ...あなたッ...ごめんなさいッ...
あああッ...いッ、いっくうううううぅッ!!」
  激しい雨が屋根を、窓を叩く。稲妻の一瞬のまたたきが寝室を白く照らし、怪物
に弄ばれた輝くような女体が浮かび上がる。姫香の腰が大きく浮き上がる。寝台の
上にブリッジを形作る美しい人妻の身体。その秘密の蜜壺は、汰狼の指を咥え込ん
だまま、ぶるぶると濃密な振動を伝えてくる。夢にまでみた姫香の裸身に自分の指
が与えたエクスタシーの深さに、汰狼が会心の笑みをこぼす。
  「ぐふふふっ...いったかぁ?いったんだなぁ、姫香ぁ。俺の指でよぉ...ぐげげげ
げっ。けっ、ざまあみろっ、剛蔵がっ...ぎひひひっ...まだまだこんなもんじゃ終わ
らねえぜ、姫香ぁ...ぎひひっ」
  なおも強く締め付けている肉襞から、汰狼がずるりと力を込めて愛液まみれの指
を引き抜く。熱い吐息とともにブリッジが崩れ、しなやかな四肢をしどけなく横た
える姫香。そのせわしない呼吸すら、部屋中を桃色に染め上げるかのようなフェロ
モンを放っている。汰狼は、姫香の力を失った柔らかな両脚を掴むと、無慈悲に大
きく広げ、淫蕩な顔を近づけていく。
  「ぐひっ...ぐひひひっ...びっしょびしょだぜぇ、姫香ぁ。しかし...くっくく...い
い色合いじゃねえか...どれ...」
  汰狼の唇が歓喜にわななきながら、絶頂の余韻でひくひくと震える神秘の花弁に
ぴたりと押し付けられる。分厚い二枚の唇を前後左右にせわしなく蠢かせながら、
溢れる秘蜜をすすり、舌をねじ込む。バイブレーターのように震える太い舌が奥深
く入り込むと、たちまち姫香の官能の炎が掻き立てられていく。
  「はあッ...そ、そんなッ...いけませんッ...ああッ...いやッ...た、汰狼さんッ、だ
めッ...ああッ...」
  女の最も恥ずかしい部分に熱烈な口唇愛を受ける。あまりの羞恥に身悶えする姫
香。だが、弾ける腰を両手でがっちりと固定した汰狼の責めはとどまるところをし
らない。
  「どうだ?姫香ぁ...剛蔵よりいいかぁ?んー?んんーっ?」
  「くふうッ...汰狼さ...ん...か、堪忍ッ...あの人は...こ、こんなことはッ...!」
  「なあにいっ!?...剛蔵にはしてもらってねえってのかぁ?...もったいねえ...こ
んなにうめえ蜜をよう...ぐっぐひひひひっ...」
  「ああッ...だ、だってッ...こ、こんなに恥ずかしいこと...ひ、姫香、耐えられな
いッ...だ、だからッ...はああああんッ...」
  「許さなかったのか姫香ぁ...優しいこった剛蔵は...くひっ...おかげで...俺様が甘
露の味見する初めての男ってか...ぐひひひひっ」
  限りない恥辱の責めに反応して、次々と甘い秘蜜を溢れさせていく姫香。汰狼は
咽喉を鳴らして次々と啜りこんでいく。やがて、再び歓喜の大波が姫香に覆いかぶ
さってくる。
  「ひッ...ひあッ...だめッ...こんなッ...ああ、もうッ、もう許して汰狼さんッ...こ、
このままじゃ姫香ッ...姫香あッ...ひいッ...」
  「いきそうなのかぁ、姫香ぁ?...ぐひっ。な、何にも心配することねえ。たっぷ
りといきなよ...げひひひひっ」
  「ああんッ...だ、だめッ...こ、こんなに恥ずかしいの、いやあッ!お願いッ...お
願い、汰狼さんッ...ふああああッ...」
  「ぐひっ...さあ、俺様の目の前で大恥を晒すがいいぜ、姫香ぁ。くふふふふっ...
俺様の唇と舌で思いっきりいきなっ...んむむむむっ...」
  さらに激しい唇と舌の責めが襲う。姫香はもう耐えようがなかった。上気した顔
を激しく振る。
  「だめッ...だめえッ...あッ!ああッ!いやッ、いっちゃうッ...いやッ、汰狼さん
ッ...あ、あなたッ...助けてッ...ああ、いくッ」
  断末魔の姫香。汰狼の舌が一際深く挿し込まれ、捻りを加えてとどめをさす。
  「ひッ!!...あ、あなたッ...あなたッ...ああッ...あはあああああああッ......!!」
  ぐっと姫香の身体が仰け反り、激しく痙攣する。はしたなく大きく開いた口から
桃色の舌をのぞかせながら、長々と引きつった歓喜の声を発しながら、姫香が果て
る。ぐふうっ、汰狼も大きく満足のため息をつくと、ようやく姫香の秘唇を解放す
る。
  「きっひひひひっ...またいきやがったか、姫香ぁ。まったく淫らな女だぜ。貞淑
な人妻も一皮むけば、このざまかよ。もっとも...」
  汰狼が思い出し笑いをする。
  「くっくくくくく...あのすげえヤクを三本も喰らっちまっちゃあ...たまったもん
じゃねえよなあ...くひひひひひっ...」
  こってりと濃厚で執拗な汰狼の愛撫を受けた姫香が失神して横たわっている。細
く伸びやかな四肢と豊満な胸と腰とは、絶妙なプロポーションでこの上ない女性美
を醸し出している。放恣に投げ出された姫香の裸身をじっと見つめる汰狼の瞳に欲
望が燃え盛っていく。その股間からは人間離れした巨大な欲望のシンボルが、てら
てらと粘液を滲ませながらそそり立っている。
  「くへっ...くへへへへっ...お、俺様もたまらなくなってきたぜぇ、姫香ぁ。そ、
そろそろ...本番といくかあっ!」
  汰狼が姫香にのしかかっていく。膝を大きく割って、両腕で抱え上げる。
  「ぎひひっ...俺様はロマン派なんだぜ...や、やっぱり初めての結合は、せ、正常
位だぜ...なあ姫香ぁ...げへへへへっ」
  恋焦がれ、憧れ続けた姫香を遂に貫く。その時が訪れたことに汰狼の興奮は最高
潮に達する。あまりの興奮にぷるぷると小刻みに震えながら姫香の秘苑に向けられ
た欲棒は、まるで燃え盛る丸太のような熱さと硬さと太さとを兼ね備えている。
  「い、いくぜっ、姫香ッ!」
  汰狼の分身が姫香の花芯に押し当てられる。瞬間、失神したままの姫香の身体が
びくりと弾ける。花びらを押し広げるようにして、巨大な肉棒が胎内に侵入してい
く。
  「うっ...うおおっ...おおおうっ...」
  姫香との初めての合体。何百回何千回と夢想しては自慰にふけってきた汰狼は、
この上ない感動と快感を精一杯貪る。
  人間のサイズを遥かに超えた汰狼の息子を、姫香の蜜壷は、肉襞を限界まで広げ
ながらも受け容れていく。巨大な肉の槍に深々と貫かれる衝撃に、姫香の意識が目
覚めていく。
  「くふッ...あはッ...!あはああんッ...た、汰狼さんッ!?ひあああッ...かはああ
ッ...」
  「姫香ぁ。やっと結ばれたよ。やっと...やっと結ばれたんだよ...くくうっ...」
  汰狼の瞳に感動の涙があふれた。
  「ずっと...ずっと恋焦がれて...優勝するために必死で修行して...絶対勝てると思
ってたのに...そ、それなのに...」
  うわ言のように呟きながら、なおも灼熱の剛棒を姫香の胎内奥深くにまで抽送し
ていく汰狼。
  「よそ者の剛蔵に全て奪われて...悔しかった...悲しかった...」
  こつっ。遂に汰狼の男根は姫香の子宮口にまで達する。大きく身体を仰け反らせ
る姫香。
  「だが...俺様は...遂に奪還した...奪還したんだ...もう離さねえ...お前は生涯俺の
女だ...いいなぁ、姫香ぁ...!」
  汰狼の腰がゆっくりと動き始める。あまりに熱く硬く太い陽根の猛りに呼吸困難
に陥って唇をわななかせていた姫香。ようやくその蜜壷が馴染み始める。
  「ひッ...くはあッ...あふッ...ああんッ...た、汰狼さんッ...す、凄いッ...はああッ
...ああッ、堪らないわ...」
  次第に抽送を激しくしていく汰狼。
  「どうだぁ、姫香ぁ。俺様と剛蔵と...どっちがでけえんだ?」
  「ひあッ...あああんッ...そ、そんなに突いちゃッ...はああッ...た、汰狼さんッ...
汰狼さんの方がッ...んあああッ...」
  「くっくくく...そうかそうかぁ...姫香ぁ...じゃ、じゃあ...俺様と剛蔵と...どっち
がいいんだぁ?」
  腰に八の字を描くように捻りを加えて、くいっくいっと浅瀬を小刻みに揺すりり
たてる汰狼。姫香が激しく喘ぐ。
  「ああッ...いいッ...それいいッ...!ご、ごめんなさい、あなたッ...ひ、姫香ッ...
汰狼さんの方がッ...ああッ...いいいいッ...」
  満面の笑みで何度も肯く汰狼。姫香の唇が紡ぎだす夢のような台詞にたちまち有
頂天になる。一気に最初の爆発が近づいていくる。
  「おおうッ...姫香ッ...な、なんてぇ名器だッ...たまらねえッ...出すぞッ...膣内に
出すぞッ...俺様の子種を、全部子宮で受け止めるんだッ!」
  深く激しい律動が開始される。その動きに嵐の小船のように翻弄され続ける姫香
の身体。
  「はあッ...だ、だめえッ...んあッ...い、いけませんッ、汰狼さんッ...そ、それだ
けはッ...中はッ、中だけはッ...はあんッ...ゆ、許してッ......んああああッ...」
  姫香の拒絶。しかしそれは、肉欲に耽る二人の興奮をより高めるようとするため
の演出に過ぎなかった。
  「うおおうッ...駄目だ、許さんッ!俺様の子を産めッ、姫香ぁ...孕むまで何度で
も出してやるぜッ...おおうッ...し、締まる...うおうッ...」
  「あうッ...だめッ...汰狼さんの赤ちゃんだめッ...はああんッ...わ、わたしには夫
がッ...ふああッ...た、汰狼さんッ...か、堪忍ッ...姫香、あの人に叱られちゃうッ...
あふああうッ...」
  「おおうッ...おおおおうッ...いいッ、いいぞッ、姫香ッ!さ、最高だッ、最高の
オマンコだッ...さあ、いくぞッ!」
  「ふあッ!?あああんッ...あ、あなたッ、ごめんなさいッ...ひ、姫香ッ、姫香、
汰狼さんに無理やり犯されてッ...ああッ、許してッ、あなたッ...!」
  姫香の切なげな言葉が、二人の官能を一層煽り、汰狼の征服本能を強烈に揺さぶ
っていく。
  「おおうッ...姫香ッ...ふ、二人で、剛蔵に...見せ付けてやろうぜッ...くおうッ...
くうッ!いくッ!いくぞッ...さあ、子宮に迎え入れてくれ姫香ッ...姫香ッ、姫香ッ
...ああッ姫香あぁッ!!」
  愛する女の名前を連呼しながら、汰狼の欲望が爆発する。夥しく放出される精液。
無数の精子が膣を、子宮を、卵巣までをも満たしていく。姫香の卵子を探し求めて
激しく蠢いていく。
  「ひあッ!ああッ...熱いッ!あなたッ、許してッ!姫香ッ...姫香もいっちゃうッ
...い、いくッ...いくうううううううううッ!!」
  姫香の両腕が汰狼の背中に回され、爪が肉に食い込む。両脚はがっちりと汰狼の
足をフックし、その腰は汰狼の欲望を全て吸い尽くそうとするかのようにひくひく
と痙攣して、最後の一滴までをも搾り取ろうとする。

 泣きに泣いて、慟哭からようやく醒める愛華。部屋はすっかり暗くなり、暴風雨
が家中を揺すぶっている。
  「い、いけない...私ったら...」
  慌てて立ち上がって部屋を出る。外の激しい物音に対し、家の中はしんと静まり
返り、在宅しているはずの獅郎の気配すら感じられない。
  「おかしいな...お姉さま、まだ来ないのかしら?こんな嵐になっちゃって来られ
ないのかな?」
  念のため居間を覗いて見ると、獅郎が静かに書物を読んでいた。
  「あ...お父様、いらっしゃったの?」
  「こんな嵐の中、外出などせんよ。そういえばお前、気配が感じられなかったぞ。
姫香の家に行っているのかと思っていた。」
  「そ、そうなのよ。私もお父様の気配が...嵐のせいかしら?...仁菜と梨恵は?」
  愛華はいつも家事を手伝いにきている行儀見習いの娘たちの行方を尋ねる。
  「二人とも、嵐が来る前に家に帰したよ。」
  「そう、良かった......そうだ、お姉さまにこっちに来るように誘ったのだけど、
いいでしょう、お父様?」
  「それは無論構わんが...来られるのかね?」
  「ええ...ちょっとぼんやりしている間に凄い天気になっちゃったみたい。お姉さ
ま一人じゃ無理かも。私、迎えに行ってきます。」
  「おいおい...姫香も家にいるのなら心配ないだろう。わざわざ行かんでも......」
  「でも、約束してたし。それに、この嵐の中一人ぼっちじゃお姉さま可哀想よ。
雷大嫌いだし。」
  「やれやれ...いつまでたってもお転婆が直らんな。嫁の貰い手が見つからないぞ
...」
  「いいのよ。私は結婚しません。義兄さんの...若統領の右腕として、生涯戦士を
務めます。」
  「まあ...確かにお前の才能は並外れておるが...惜しい。男であったなら私を継ぐ
だけの器なのに...」
  「それはいいのよ。義兄さんには勝てないわ...まだ、もうちょっとだけ、ね。」
  可愛く舌を出してウインクする愛華に、獅郎が愛情のこもった視線を注ぐ。父親
としては、まだしばらくは愛華を手元に置きたい気持ちで一杯であった。
  「やれやれ......では気をつけて行っておいで。風呂を沸かして、熱い飲み物でも
用意しておこう。」
  「流石はお父様。すぐに戻りますから。あーあ。私も水の属性だったらよかった
なあ...」
  手早く身支度をした愛華が、姫香の分の雨具を持って吹きすさぶ嵐の中を駆け出
していく。

 汰狼は、背後から姫かを貫いていた。獣の姿勢を取らされて、両膝と両手で身体
を支える姫香が前後に激しく揺さぶられる。
  「うおッ...いいぞおッ...最高のオマンコだぞッ...姫香ッ!」
  豊かに張り詰めた腰を抱え込み、ヒップに指を食い込ませながら、汰狼が呻くよ
うな嘆声を発する。
  「あふッ...はあッ...う、うれしいッ...汰狼さんッ...」
  「ふおッ...ぐひッ...くくくッ...」
  ある思いつきに下卑た笑いを浮かべた汰狼が、不意に腰の動きを止めると、姫香
の果汁に濡れそぼった剛直を引き抜く。
  「ふあッ...?た、汰狼さんッ...なに......ひッ、ひああッ!?」
  不思議そうに振り向いた姫香の顔が、次の瞬間凍りつく。汰狼の男根が、密かに
息づく小さな菊座に押し当てられたのだ。
  「ぎひゃひゃ...こっちももうとっくに経験済なんだろう?姫香ぁ...ぐひゃひゃ
...」
   突きつけられた熱棒の先端がさらに押し付けられ、扉をこじ開けようとする感
覚に戦慄する姫香。
  「ひゃッ!...だ、だめです汰狼さんッ...そ、そこはッ...そんなところッ...ああッ、
いけませんッ!」
  「ぎひゃ?んんー?剛蔵は...まだ入っていないのかぁ、姫香ぁ?...ぎひゃひゃ...」
  「は、はい...だ、だってそんな...入りっこない...ひゃあああッ!?」
  興奮に一層大きさを増した肉柱が、震えながらさらに押し付られる。小さく狭い
その門に、遮二無二入り込もうとする。
  「ぎ、ぎひひひひッ...そうかそうか...くくくくッ...じゃ、じゃあ...ありがたくい
ただくぜぇ。姫香の処女をなあッ...」
  「きゃあッ!だ、だめッ!そ、そこはいけませんッ!そんな大きいのッ、入らな
いッ!...だめッ、だめえッ、姫香壊れちゃうッ!」
  「ぐへへへッ...ご、剛蔵の大切なものを滅茶苦茶にしてやるぜッ!さあ、ぶっ壊
れちまいな姫香ぁッ!」
  ずぶうッ...!灼熱の欲望がめり込んでいく。
  「うあああッ...はああッ...だ、だめッ...い、痛いッ...痛いわッ、汰狼さんッ...ゆ、
許してッ...あああッ!」
  激痛に姫香の背骨が震える。全身から脂汗が流れる。
  「くううッ...ほ、ほうら、しっかりと咥え込んだぜぇ姫香ぁ...やりゃあ、できる
じゃねえか...ぎひひひッ...ざまあみろッ剛蔵ッ...お、おおうッ...き、きっついぜぇ
ッ...げへへへへッ」
  締め付ける姫香の肉圧の強さに、早くも気もそぞろになる汰狼。
  「ぬ、抜いてッ...ああッ、つ、辛いわぁッ...お、お願いッ...早くッ、早く抜いて
くださいッ...た、汰狼さんッ...姫香を許してぇッ」
  姫香の両手がぎゅっとシーツを掴み締める。がくがくと激しく腰を震わせながら
哀願を続ける。
  「げへへへへぇッ...許さんッ、姫香ぁッ......もうちょっと辛抱しなッ...い、今...
征服の烙印を押してやるからなあッ...せりゃせりゃせりゃあぁッ...」
  委細構わず無慈悲に荒々しい抽送を加える汰狼。張り裂けんばかりの姫香の菊門
に、更なる律動を加えていく。
  「あああッ...許してッ、お許しになってッ...汰狼さんッ、汰狼さんッ...」
  耐え切れずに姫香の上半身が寝台に突っ伏す。なおも腰を抱えて強引なピストン
運動を続ける汰狼。
  「うおおうッ...いくぜぇ...いくぜぇ姫香ぁ...しっかり受け止めな...おおッ、で、
出るッ、出るうッ!うむッ!うううむッ!!」
  一声大きく唸ると、汰狼の腰の動きが止まり、灼熱の樹液が姫香の内臓に注がれ
ていく。溶岩のような熱さに悶える姫香。
  「ああッ...あ、熱いッ...お、お腹ッ、熱いぃッ...熱いのおッ...ああうッ...死んじ
ゃうッ、姫香死んじゃうッ...!」
  力を失っていたはずの両腕をぴんと立て、弓なりに激しく仰け反る姫香。反り返
った咽喉が、ぶるぶると震えると、絶叫とともに再び倒れ伏せる。

 絶頂の余韻に心ゆくまで浸った後、漸く大人しくなった分身を引き抜く汰狼。見
下ろした姫香の裸体は、息も絶え絶えに突っ伏している。
  「ぐふっ、ふふふふっ...思い知ったか姫香ぁ。処女を奪ったからには、俺様が新
しい旦那様だぜ...ぐひっ、ぐひひひひっ」
  いつまで寝てやがるっと叫んで強引に抱き起こすと、汰狼は姫香の身体を座った
まま抱きかかえ、背後から再び熱く濡れそぼった秘花の中心を貫く。
  「...!かはッ...くううッ...はああんッ...た、汰狼さんッ...もう、もうッ...堪忍ッ
...!」
  解放を懇願する姫香を背面座位で犯しながら、汰狼が吼える。
  「ぐぎぎっ...新妻なら最後まで甲斐甲斐しく夫に尽くしなッ、姫香ぁッ...ふんッ
...ふううんッ...」
  両腕で抱え込んだ姫香の身体を揺すりたてる汰狼。極限の疲労の果て、ぐったり
と汰狼の身体にもたれかかりながらも、姫香の官能が再び目覚めていく。
  「はあッ...ああんッ...いいッ...いい、ですけどッ...ああんッ...お、お願いッ...す、
少しだけ、少しだけ休ませてくださいッ...ああッ、ねえッ、汰狼さんッ!」
  「ダメだッ、姫香ぁ。ふんッ...ふんッ...今日は俺たちの初夜じゃねえか。ふんふ
んふんッ...新郎にとことん尽くすのが...新婦の務めだぜッ。ぐおおッ...おおおうッ
...初夜に孕むのは新妻の常識だろうがッ!」
  「そ、そんなッ...あふううッ...そ、そんな常識、し、知りませんッ...ああんッ...
あふううッ...お願いッ、汰狼さんッ...」
  「そりゃそりゃあッ...うおッ...他人行儀はなしだぜ、姫香ぁッ...おおうッ...くお
うッ...新妻はッ、夫をなんて呼ぶんだいッ?おおうッ...言ってみろッ、姫香ぁッ!」
  「ああッ...ま、またッ...またいっちゃうッ...だめッ...ああッ...あ...あなたッ...あ
なたッ...姫香、またいっちゃうッ!」
  「ぐひひひッ...そうだ、これからは...うおうッ、剛蔵じゃなく、俺様を『あなた』
と呼ぶんだッ...うはああッ...いいなッ、姫香ッ!」
  「は、はいッ...あ、あなたッ...あああッ...んああああッ...あなたッ、ひ、姫香ッ、
いきますッ...ああッ、あなたぁッ!」
  姫香に「あなた」と呼ばれたことに狂喜した汰狼が、一気に欲望を爆発させる。
  「いいぞッ...さ、最高のオ○ンコだッ...い、いくぞ姫香ッ...姫香の中にッ、出す
ぞッ...出すぞおッ...おッおおおおおおおうッ、姫香あぁッ!」
  ぎくりと汰狼の腰の動きが止まり、三度目とは思えない量の子種がどくどくと音
を立てて姫香の胎内に流れ込む。
  「ああッ...来ちゃうッ、あなたの赤ちゃんの素、来ちゃうッ...あはああッ...だ、
だめなのにぃッ...お願い、来ちゃだめえッ...あはああああッ?い、いくううううう
ううッ...!」
  両胸を汰狼の太い指で揉みまくられながら、激しく上半身を仰け反らせる姫香。
汰狼と頬をすり合わせ、唇を震わせて絶頂に喘ぐ。完全に姫香を我が物とした感動
の余韻の中、背後から汰狼が唇を求める。すかさず形の良い唇を惜しげもなく与え
る姫香。二人の腰が別の生き物のように蠢き、官能の最後の一滴までを絞り尽くし
ていく。

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