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堕とされる牝(おんな)
〜Another Story Of “Hakugin No Delmo Sakusen”〜

第2章 傷つけられる牝

「ウッ…ウッ…ウッ…」
暫しの静寂の後、啜り泣く女の声が聞こえ始める。
リエの股の下に、涙こそ流していないが、
目を真っ赤に充血させ、下唇を噛み、わななく女の姿があった。
ピエールの一件に続いてデルモゲニィの罠にまた嵌り、
今度はずっと年下の幼い少女に体の至る所まで弄られて調べ尽くされて、
更に、その恥ずかしいデータを取り戻すため、その少女に戦いを挑んだのに、
取り戻せないばかりか、逆に、良い様にあしらわれ完膚なきまでに叩きのめされたのだ。
藍華はあまりにもの悔しさと惨めさで声を出すことも出来ず、
ただ、拳を握りしめて床を叩き付け、うちひしがれるだけだった。
「藍華お姉様。悪い様にしないわ、だから、おとなしく負けを認めて投降して? 
もう無駄な抵抗はしないで?
お願い。これ以上私を失望させないで。最期ぐらい潔くして?」
リエは、一度は憧れた女性のあまりの哀れな姿に、同情し降伏を促す。
敵であり、しかも、自分よりずっと年下の娘にボロ雑巾のように叩きのめされた上、
情けまで掛けられたのだ。
藍華にとって、これほど屈辱的な敗北はなかった。

これが藍華の中で消えかけていた怒りや闘争心といった感情を呼び覚まし、
虚勢とも言える、最後の意地を見せる。
「誰が、あんたみたいな小娘なんかに!」
藍華は後ろに振り返りリエを睨み付けて、そう叫んだ。
この「小娘」という言葉がリエの逆鱗触れるとは知らずに。
リエの顔は一瞬固まり、大きな落胆の表情を浮かべたかと思うと
今まで、どんなに憎たらしい顔をしていても残っていた可愛らしさが完全に消え失せ、
目と口の端がつり上がり、幼さゆえの残忍さがある恐ろしい形相となった。
藍華はその顔を見て、本能的に危険を感じる。
背筋には寒気が走り、顔は真っ青になっていく。
まるで蛇に睨まれた蛙のように、あまりの恐怖に震え出してしまう。

リエはゴールデンデルモになるほどの実力者であるにも関わらず、
年齢のため、青デルモや黒デルモの多くに、妬まれて、嫌がらせを受けていた。
そのため、幼きことを馬鹿にされるのを異様に嫌っていたのだ。

リエは自分の下で無様に震える藍華を睨み付け、
「この女もこの程度の女だったのね。残念だわ。」
そう呟くと、怒りを握り込めた拳を高く上げる。
「ヒィッ! 助け…」
藍華は情けなく悲鳴をあげ、許しを乞おうとしたが、
その台詞を言い終える前に、首筋に鈍い音と激痛が走る。
バキッ!
「ギャア!」
ゴキッ!
「グワッ!」
ギュキッ!
「ギェ!」
ゴガッ!
「ガッ!」
リエは藍華に馬乗りなったまま、今まで藍華の右手に掛けていた関節技を解き、
股の下にいる愚かな女の首筋を、まるで虫けらを殺すかのように、
残酷な表情を浮かべ両拳で交互に殴り続けた。
怒りに我を忘れたリエに手加減という言葉はない。
殴れかれるたび、藍華の目はカッと見開き、
体は全身に電撃が走ったようにブルッと大きく震える。
藍華の首筋から出る音はどんどん鈍くなり、
藍華の悲鳴は喉を詰まらした様に、低く、くぐもったものになっていった。
『私、このまま死ぬのね。』
藍華は自分の死を予感した。
そして、いつの間にか、声や悲鳴も出さず、
ただ止めなく涙を溢れさせている自分に気付き、
ゆっくりと瞼を閉じていく。

その時、甲高い悲鳴のような声が部屋を木霊した。
「キャー! イヤーー!! もうヤメテー!
そんなにしたら藍華さんが。藍華さんが。死んじゃう。死んじゃうーーーー!!」
そのあまりにも高く大きい声にリエは我に返り、
股の下で、息も絶え絶えになって、だらしなく伸びている女に気付く。
床とキスするような格好で下を向いたままの女の乱れ濡れた髪を片手で掻きあげ、
顔を見えるようにすると、恐怖と安心が入り交じった幼子のような泣き顔が覗けた。
「ウッ、ウッ。グスッ、グスッ! ヒック! ヒック!」
おかしな話だがリエは、自分よりずっと年上の藍華に対して
一瞬、母性本能をくすぐられる。
そして、憎さと可愛らしさを感じる藍華の頬を撫で、
ピシ! ピシ!と2度頬を軽く叩きながら話し掛けた。
「良かったですね! いい仲間を持って。 あの『りおん』とかいう人に感謝して下さいね。」
藍華はそれに答えずに、ただ安堵の涙を流し続けた。

「でも、藍華お姉様、いえ、藍華ちゃん。
あなたへのお仕置きが終わったかと思ったら大間違いよ。」
突然、リエが嘲りと憎しみを込めた台詞を吐くと、
「えっ!」
死の恐怖から救われ安心しきっていた藍華は、予想外の台詞に驚きの声を上げる。
「あなたのように物分かりが悪い娘にはこれが一番ね。」
リエは、動揺して固まっている藍華のタイトスカートを腰まで捲り上げ、
更にショーツを太股の中ほどまで下げた。
藍華の双臀が外気に触れる。
そして、リエは大きくて手を開き振りかぶった。
パンッ!
「あはっん!」
風船が割れるような音が部屋に響く。
藍華は、ほのかに心地の良い痛みが臀部から全身に電流のように巡っていき、
尻たぶらが波を打つかのように揺れるのを感じる。
今まで経験したことのない痛みと感覚だった。
だが、すぐに尻を叩かれたのだと気付き、激しく動揺する。
経験したことないはずであった。
藍華は亡き母にもそんなことされたことがなかったのだ。
『それを、こんな幼い少女に…。』
その事実を理解すると、恥ずかしさと屈辱で、顔が見る見る真っ赤になり、
涙がまた流れ出そうになった。
その瞬間、
ピシィン!
「アァッ!」
藍華の尻を2撃目が襲う。
今度はさっきとは違い純粋な痛みと羞恥心が全身を駆け巡り、僅かに呻き声を上げる。
そして、全身の血が蒸発したように熱くなり、汗が一気に噴き出した。
リエはそんな藍華に構わず、次々尻を叩き続ける。
パン!
「くっ!」
ビシッ!
「あぁっ!」
藍華の体はあまりの屈辱にヒクヒクと震えていた。
「リエ! もう許して! ハァン! お願い。
こんな責め苦もう堪えられない。 だから、ねえ?」
リエは『ふーん。あっそう。』とでも言いたげな顔をし、
藍華の懇願を無視し、尻を叩き続ける。
「いやー! ダメー許してー! クゥッ!」

藍華は何度も叩かれているうちに、
痛みのほかに体の芯を熱くする僅かな疼きも感じるようになり、
秘部が僅かに湿りはじめていることに気付いた。
ピシャーン!
「きゃぅ!」
パァン!
「あぅ!」
パシーン!
「あぁぁ!」
呻き声も叩かれる度に、喘ぎが交じるようになってきた。
藍華は、この尻を叩かれるという行為に、痛みと屈辱を感じながらも、
性的快感も覚えはじめていることを気づき、
『駄目よ。こんなことで感じちゃ。堪えるのよ。』と
何度も心の中で自分に諭すように言う。
しかし、熱い疼きは藍華のその思いとは裏腹にそう思えば思う程、
徐々に強くなる一方だった。
『尻を叩かれながら感じるなんて、こんな変態のようなこと、
りおんやリエに気付かれてはならないわ! そんなことになったら、私……。
何としてでも、リエにこの行為を止めてもらわないと。』
藍華は、もう一度、リエに許しを乞いだ。
「ねぇ! 止めてぇ! 駄目ぇ…もう許して… もう本当に堪えられないのよ。キャウ!
謝るわ! ごめんなさい。あなた達に従うわ。もう開放して。
お願い…だから…もう…堪弁して…もう許してぇ! お願いよぉ!」
瞳には涙が湛えられていた。
リエはそんな藍華の浅ましい姿に叩くのをやめた。
藍華はやっとこの屈辱的な責めから開放されるのだと思い、ホッと大きく息を吐く。
『危なかったわ。もう少しで淫らに感じ始めるとこだった。』
しかし、その後すぐに、藍華は、自分の上からどいてもらおうと思い
後ろを振り返って見たリエの顔に不敵な笑みがこぼれていることに気付き、
恐怖で、ぶるりと体を震わすことになる。
「許して欲しいの? 藍華ちゃん。でもね、そういうことはもっと早く言わないとねん!」
リエは藍華の尻を掴み、思いっきり、つねり上げた。
「キャウァァッ!! あっ、ウン ぐううぅぅん!」
叩かれることによって、敏感になった藍華の尻には、
この予想外の痛みは普通につねられるより何倍もこたえた。

りおんは、最も慕っていた女性の浅ましい姿、
まるで馬が騎手に鞭打たれているな姿に困惑していた。
何度も目をそむけようと思ったが、
自分でも何故だか分からないが、藍華のその姿から目が離せなかった。
ガタガタと震えながらも、声も出さずに、
食い入るようにその様子をずっと見詰めていた。
『やめて! 藍華さんを、私の藍華さんを苛めないで、もう許してあげて!
お願いそんな風に苛めないでっ!』
と何度も心の中で叫んでいたが、それが音として、口から出ることはなかった。
時には母であり、姉であってくれた 尊敬してやまない藍華が尻を叩かれ、
あられもなく悲鳴を上げて、もだえる姿に、
また、それを見ることによって自分も尻を叩かれているような感覚に襲われ、
下半身を熱く疼かせていたが、りおんはそのことに気付いていなかった。
それほど背徳的で ある種妖艶なこの光景に魅入っていたのだ。
だが、尻をつねられることにより出た、今までとは比べ物にならない藍華の悲鳴により、
りおんは、やっと恍惚から目覚め、正常な思考が出来るようになった。
そして、屈辱と痛みで苦悶の表情を浮かべる藍華の顔をはっきりと見ることにより、
自分の大切な人を苦しめるリエへの怒りが沸き上がり、その大切な人を助けるため、
「藍華さんから、離れろー!」
りおんは、そう叫びながら、リエに向かって行く。

リエは藍華に跨ったまま、その背後の方から聞こえる声に顔を向け、
『待っていたわ』と言わんばかりに不敵な笑みを投げかける。
「ダメェ! りおん! やめなさい。あなたではこの子に敵わないわ。
私なんかに構わず逃げるのよ!」
藍華はりおんを制止させようと必死に叫んで訴えかけるが、時すでに遅かった。
りおんが未だ藍華に跨ったままのリエを殴ろうと腕を振りかぶったその瞬間、
りおんの視界から、リエの姿だけが消える。
「エッ?!」
リエは素早くバク宙し、りおんの視界から消えると、りおんの肩に乗り、
更にそれを踏み場にして上空へと高くジャンプしていたのだ。
バランスを崩した りおんは、そのまま藍華に覆い被さるかのように倒れ込んでいく。
「あぅ!」
二人から、同時に呻き声が出る。
そして、恐るべきことに上空へと飛んだリエは、
上下に重なった藍華とりおんの腰の目掛け、その上に両足で着地をした。
グシィッ!ミシ。
「キャア!」
「グアァッ!」
重くて鈍い骨のきしむ音、そして2人の女性の無様な悲鳴が響く。
リエの足の下には、痛みで体をそり返し、よだれを飛び散らす2人の敗者がいた。

「ボロボロにやられ、しかも、お尻丸出しの恥ずかしい格好で
見っとも無く這いつくばりながらも、
仲間の身を案じ、自分を置いて逃げるように言うなんて、見直したわ。藍華お姉様!」
リエは口からよだれを垂らし伸びている二人に乗ったまま話し掛ける。
『〜ちゃん』付けで呼ばれた後、『〜お姉様』と呼ばれると、
余計馬鹿にされているような気がし、藍華は口惜しさに、拳を握りしめ僅かに床を叩く。
リエは片足を床に落ろし、藍華の顔を覗き込むように顔を近付け、
「でもね。藍華お姉様のつまらない意地とプライドがこういう結果、
そう 自分が守るべき愛する仲間もいたぶられるという現実を招いたのよ。
お分かり? 藍華お姉様。」
そう言うと藍華達の腰に乗せたままにしていた足を高く上げ、
着地したのと同じ箇所を力一杯踏み付けた。
「ぐぅぅ!」
「はぅ!」
二人は痛みで、僅かだが、また体をのけ反らせる。
リエはそんな二人の様子を見て、クスッと笑い、更にもう一撃くわえた。
「ぐぇ!」
「あぐ!」
その時、藍華はりおんの悲鳴が酷く苦しそうであることに気付く。
どうやら、両足で踏み付けられた時に背骨をおかしくしたらしいのだ。
だが、リエはそんな状況に気付かず、次々に攻撃を続けてきた。
「ねぇ、ぐわっ!…攻撃ギゥッ!…を…やめ、でふっ!…」
藍華はそれを伝え攻撃をやめさせようとするが、
次々襲う衝撃と痛みで言葉にならない。
リエは止めとばかりに、また高くジャンプした。
『あんな攻撃をもう一度食らったら、りおんの今後人生に深刻な影響、
そう、もう二度と歩けなくなるようなダメージを受けてしまう。何とかしなくては。』
藍華は残された最後の力を振り絞って寝返りをうち、更にりおんを少し遠くに押しやる。
「藍華さん!?」
りおんが、そうつぶやき、藍華の方へ手を伸ばすと
藍華はやさしくりおんに微笑みを浮かべるだけで、
逃げようともせず、その場に仰向けになったまま目をつぶるのだった。
これは下手に避ることによって、りおんが狙われないようにするためだった。

「ぐうぇっぷ! がはっ! ぐふ!」
気高く美しい女性の醜い叫び声と呻きが静寂の中を響く。
藍華は下腹部に強い衝撃を受け、その反動で上半身と足が持ち上がる。
目はカッと見開き、体はVの字に曲げたままの形で一瞬止まり、
口からは血と涎を撒き散らす。
その飛沫は、リエの体に付いたり、
上空に飛んだものは重力により藍華の体に雨のように降り注いでいく。
藍華の持ち上がった体は、ビクリと1回震えると、
そのまま力無く地面に叩き大の字に伸び、
横を向いた口からは喉に詰まっていた血や涎がドバッと流れ出る。
それから、藍華は、プッツリと糸の切れた人形のように動かなくなった。

「藍華さぁぁぁーーーん!」
りおんの悲痛な叫びが、暫しの静寂をかき消す。
りおんは腰の痛みにより起き上がれず、這って藍華に近付き、体を揺する。
「グスッ! 藍華さん?……グスッ! 藍華さん?……藍華さ〜〜ん!」
藍華は死んではいなかったが、完全に意識を失っていて、ピクリとも動かなかった。
藍華の惨たらしいまでに、痛めつけられた姿にりおんは涙が止まらなかった。
りおんは身を呈して自分を助けてくれた愛しい人の顔を抱きしめ、リエを睨み付ける。
「何でこんなことするの? ここまでする必要無かったじゃない!
どうして! ねえ どうして! 憎いわ! 私はあなた達が憎い!」
リエは『それはこの女がハーゲン様と大切な仲間を、
そして私たちの夢を奪ったからだ。』と言おうとするが、
りおんの激しい怒り炎をたたえた瞳と気迫に声が出なかった。
りおんは、傷つき動かなくなった藍華を守るため、そして、憎き敵を倒すため、
起き上がろうとするが、その時、激しく鋭い痛みが腰を襲う。
「イッ! アグゥワァァ…」
りおんは上半身も起こせずに、苦悶の表情を浮かべ、腰を押さえて床に倒れ込んだ。
リエは、ここで初めてりおんの腰に深刻なダメージあることに気付き、はっとした。
「あなた腰を?」
「そうよ…だから、藍華さんは、私だけを逃がし、
自分は避けようとせずに貴方の攻撃を受けたのよ。
そんな藍華さんに…アンタは…アンタはー!」
リエはその事実を知り悲しい顔をし、
「そうだったの…」
そう呟く。そして、この次に『ごめんなさい』と続けようとした瞬間。
突然、扉が開き、青デルモが何人も部屋に入って来る。
「良くやったわ、リエ。」
青デルモ達は藍華とりおんを強引に引き離し、
藍華の両手首と両足首を上下から2人で持ち、引きずるように部屋から連れ出す。
そして、りおんを両脇から2人で抱え、廊下へと引っ張って行く。
りおんは最後まで、怒りと憎しみで、リエの顔を睨み付けた。

最後に残った青デルモがリエに「ご苦労だったな。」と言い、
リエの肩を叩き部屋を出ていくと、
リエは「ええ。」と答えながらも、心ここにあらずといった感じで、
複雑な表情でさっきまで藍華がいた床をずっと見て続けた。





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