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堕とされる牝(おんな)
〜Another Story Of “Hakugin No Delmo Sakusen”〜

第5章 観せられる牝

『悔しいぃ。こんなのって…酷すぎる。』

藍華は覆う茂みを全て剃り取られてしまった
哀れな自分の秘部を横目でチラリと見やり、心の中で呟いた。
手足はもう開放されていたのだが、藍華は机の上から起き上がろうともせず、
股をだらしなく開いて寝そべったまま、口惜しさに体を僅かに震わせ、
親指の爪を噛んでいた。
司令は藍華のそんな様子を気にも留めず、机の上の電話を取り、また誰かと話を始める。
「…ええ、そうよ、そのお二方をこの部屋までお連れして来て頂戴。
あと、例のものを持ってくるよう 伝えてくれる?」
藍華は、多くの人に、それも、ハーゲンとのあの一件以来ずっと自分達を付け回し
危害を加えてくるデルモゲニィ達に、膣の奥まで観察され、
しかも小馬鹿にするように笑われたショックから、
未だに立ち直れずに、ただ、そのやり取りを呆然と聞いていた。

司令は受話器を置き、その傍らで横になったままの藍華をからかうように声を掛ける。
「良かったわね。今から、貴方が会いたがっている人達が来るわよ。」
藍華はそれを聞いて、りおん達がこの部屋に来るのだと分かり、
慌てて机の上から飛び起き、
さっき脱いだ服に走り寄って、それを拾おうと腕を伸ばした。
だが、もう少しで服に手が届く所で、司令に手首を掴まれ体ごと引っ張り上げられ、
ちょうど司令と見詰め合うかのような形にさせられてしまう。

「私達に断りも無く、服を着ようなんて、ちょっと図々しんじゃないかしら?」
「くっ!」
藍華は口惜しそうに司令を睨みつけ、僅かに舌打ちをするが、
りおん達がこの部屋に向かって来ている状況では、
抵抗しても自分を苦しめるだけだと観念し、
「御免なさい。服を着させてください。お願いします。」
と悔しさを堪えて弱々しく伏し目がちに乞い願った。
「駄目よ! はじめから、そう言ってくれたら、着させてあげても良かったのだけど。」
藍華は『そんなつもりなんか始めっから無かったくせに』と
心の中で激しい怒りを感じるが、
身に付けている物が赤いハイヒールと腰に丸まったスカートしかないという、
全裸より屈辱的な格好している今の藍華には許しを得るまで頼むしか他に道は無い。
「お願いです。どうか、せめて下着だけでも。こんな格好でりおん達に会うなんて…。」
「そうねえ…。ならジャケットだけは着てもいいわよ。」
「そんなぁ!」
藍華は、親に見捨てられた子供のように口を半開きにして
弱々しく歪んだ哀れな顔を司令に向けた。
「いやなら、別にいいけど。そのままの格好でお会いなさいな。」
あまりに予想通りの反応を示してくる藍華が可笑しくて、
司令は堪えきれずクスクスと笑いながら、
黒デルモに藍華の服を片付けるよう指や目で命令する。
それを見た藍華は顔から血の気を引かせて司令にすがった。
「ま、待って! 分かりました。ジャケットだけでも着させて下さい。お願いします。」
そんな恥ずかしい格好でも、この憎き敵達のご機嫌を取り、
懇願しなければならないことがどうしようもないくらい悔しく、
また、そんな自分が本当に惨めで涙が出そうになった。

「そう、そう、はじめから、素直にそう言えばいいのよ。
貴方はもう私達に逆らうことなんて出来ないんだから。
ほら! 早く着ないと、もうすぐ、貴方の大切な人達がこの部屋に来ちゃうわよ。」
許しが出ると、すぐさま藍華は、飛びつく様にジャケットを拾って羽織り、
慌てふためきながら見っとも無くスカートの裾を直し始めた。
今までさんざん手を焼き憎悪と脅威の対象でしかなかった女の
一挙一動まで掌握していることに、司令は、この上ない悦びを感じ、
強敵だった女の情けない姿を見下すようにを眺め、
「無様ね。」
鼻で笑うかの様にそう呟き、自分の椅子に戻っていく。
その言葉はもちろん藍華にも聞こえていたが、今の彼女に返す言葉などある筈も無く、
ただ口惜しそうに下唇を噛みしめ、服の乱れを直すしか無かった。

藍華がジャケットのボタンを留め終わった時、ちょうど、
「失礼いたします」
と言う声と共にドアが開き、
赤い髪のゴールデンデルモと、紫色の髪の黒デルモが入って来る。
「司令、お連れいたしました。」
藍華はその2人に見覚えがあった。特に赤い髪の女の顔を忘れる筈はなかった。
いや、忘れようとしても忘れられなかったと言うべきだろう。
この赤い髪の女、ビアンカは藍華の人生最大の屈辱である
ピエールの一件を指揮していた者なのだから。
『あの女は、あの時の……、私にあんな大恥をかかせただけで無く、
りおん達をプールに突き落とすよう命令した、あの女だわ。』
藍華は、何かにつけて自分を付け狙うデルモ達を疎ましいと思ったことはあるが、
女性として彼女達の生き方に同情し、そして、どこか共感する所があったためか、
恨みの感情を抱いたことはなかった。
また、デルモ達の怒りの矛先が自分1人だけに向けられているのなのなら、
どんなに事をされても我慢できた。
だが、この女は自分の命より大切な、
家族とも言える りおん達まで手にかけようとしたのだ。
この女を許すことだけは出来なかった。
藍華は体の中で燃え上がる激しい感情をぶつけるように、ビアンカを睨みつけた。

だが、藍華のこの凄まじい気迫を受けても、
ビアンカと、側に立つ紫色の髪の黒デルモは身じろぎ一つさえしなかった。
藍華がデルモ達を良く知っていると言うことは、
逆にデルモにとっては、
それだけ苦汁を舐めさせられ、藍華への恨みが強いことを意味する。
この2人、ビアンカと黒デルモリーダーの顔には、
他のデルモ達と比べものにならないくらいの憎しみと嗜虐心が色濃く現れており、
藍華に負けない位の鋭い眼光で睨み返してきた。

女達の激しく強い意地とプライドがぶつかり合い、一触即発にまで膨れ上がった時、
このピリピリとするほど緊張した空間を崩すように、
後ろ手に縛られた りおんと郷造が部屋に入って来る。
「りおん! 社長!」
藍華は2人の姿を見付けるとビアンカに対する激しい怒りを忘れ思わずそう叫んだ。
すると、向こうも藍華の姿に気付き、
「藍華さん!」「藍華!」
りおんは周りを囲っていたデルモ達を振り払い、藍華へと駆け寄り胸に飛び込む。
「良かった。グスッ。
あたし…藍華さんがあのまま…ヒック…目を覚まさなかったら…どうしようかと…」
りおんの瞳には、安堵により涙がたたえられていた。
藍華はそんな りおんをいとおしく思い、強く抱きしめる。
「りおん。心配かけて御免ね。でも、私の方こそ良かったわ。貴方が無事で。」
藍華も喜びで瞳が潤んでいた。
そして、近くでそれを温かく見守る郷造に目をやり、
「社長。すみませんでした。私のせいで、こんなことに…」
しおらしく頭を下げる。
「いや、いいんだ。君のせいじゃない。」
郷造は藍華の格好の異変に気付き、いたわる様に答えた。

「感動の再会はそこまでよ。」
司令のその言葉を合図に、
ビアンカと黒デルモリーダーは、まるで幸せをも一緒に引き裂くかのように
喜びの余韻にひたり抱き合ったままの藍華とりおんの体を引き離した。
「やめて! りおん達には何もしないで! お願い!」
「何もしやしないよ。
だだ、黙って、お前が甚振られる姿を見てもらうだけだから安心しな。
もちろん、お前が大人しく私達の言うことに従っていればの話だけどね。」
ビアンカは藍華の頬をナイフの腹でぺちぺちと叩きながら、そう言うと、
「楽しみだよ。お前がどれほどの醜態を晒すか。
甚振られながらも媚びへつらい見っとも無く許しを乞うのかしらねえ?
それとも、豚みたいにヒイヒイとでも泣いてくれるのかしら? クックックッ…
何もかも全てが嫌になるくらいに、たっぷりと苛めてやるよ!」
今度はナイフの先で、
ジャケットの上からでも膨らんでいるのが分かる程勃ったままの藍華の乳首を、
ジャケットの上から服を破らない様に突ついた。
「キャ、アァ! くっ!」
藍華は今すぐこの憎らしいビカンカの顔を殴り飛ばしてやりたかったが、
りおん達の身の安全を目の前でチラつかされてしまっては、下手に口ごたえも出来ない。
藍華は悔しさで身を引き裂かれそうだったが、
気持ちだけは負けないよう、ただ痛みと屈辱に耐え、
陰惨に笑うビアンカの顔を気丈に見据えるしかなかった。

りおんと郷造は、動けない様、体を椅子にロープで縛り付けられて
鏡の前に並んで座らされ、
部屋の中央の床には、拘束こそされていないが正座させられている藍華の姿があった。
「道草君はどうしたの?」
「彼には別室で、貴方達より丁重に、もてなしていますわ。
もちろん、命の保証はいたします。」
「彼は関係ないはずでしょ! せめて彼だけでも開放してあげて。」
「関係なくはないわ。貴方のお仲間ってだけでね。」
司令は、あるものを待ちながら、藍華の問いに、淡々と静かに答える。
「失礼します。」
「来たわね。」
その声の後、ドアが開き、何人かのデルモ達が、
AV機器と黒い布がかぶされた物を載せたワゴンを押しながら入って来る。
その中には俯いたままリエの姿もあった。
「アッ! アンタは! よくも!」
りおんは、その姿を見付け、怒りをあらわにし、
縛り付けられ動けないのは分かっているが、殴り掛かろうと体をばたつかせた。
藍華もその姿に気付き、敗北感と屈辱感が再び込み上がってくるが、
自分達をこんな惨めな身に追いやった張本人とも言える
リエへの怒りや恨みといった感情は不思議と全く湧かず、
ただ、こんな幼い少女に全く歯が立たず完膚なきまでに負けたと言う事実を
再認識することにより、自分の弱さや不甲斐なさを恥じ、
そのことを悔やむ気持ちだけが体の中を満たしていった。
「リエ。」
そして、藍華は、そう小さい声で自分を倒した者の名を弱々しく呟くと、
その恐るべき敵の姿をまともに見続けることが出来なくなって目を逸らし、
俯き加減に床を見つめた。
藍華のこの行動は、藍華が敗者であることをより一層強調し、
藍華をより惨めに、また、周りを囲むデルモ達の嗜虐心を更に燃え上がらせるのだった。

「あらあら、どうしたんだい。
お前達をこんな状況に貶めたリエが来たのに、じっと床ばかり見詰めちゃって。
ひょっとして、リエが怖いのかい?」
陰惨な笑みを浮かべながら、
ビアンカは、俯いたまま藍華の顎を掴み自分の方に顔を向けさせる。
「お前とリエの戦いがどんなだったか聞いたよ。
随分と見っとも無い負けっぷりだったらしいじゃないか。
手も足も出せず良い様に弄ばれているのに、
自分の負けをなかなか受け入れることが出来ず、あがき続け、
挙句の果てに、アソコ丸出しの情けない格好でオネンネさせられたんだって?
アハハハハ! 無様すぎて敵ながら同情するよ。」
このビアンカの言動に、藍華は忘れかけた怒りが呼び覚まされ、
憎らしく笑うビアンカの顔を口惜しそうに睨み付けた。
だがビアンカはひるむ様子も無く、期待通り自分へ敵意を向けてくる藍華を見て、
まだこの獲物には逆らう意志や甚振り甲斐がある事を確認し、
満足そうに顔をいやらしく歪ませ、
そして、藍華の顎を抑えたまま、もう片方の手で髪も強く握り、
無理矢理リエの方に顔を向けさせた。
「アハハ。私を睨み付ける気力があるくらいなら、
リエの顔でも、しっかり見たらどうだい? ほら!
お前はあんな幼い女の子に負けたんだよ。
負けたから今こんな目に合っているんだ。悔しいだろ。
だったら、負け犬らしく恨みごとでも言ってみたら? 少しは気が晴れるかもよ?
でも、今の絶望的状況は何一つ変わらないけどね。キャッハッハッハァーー!」
「クッ」
相手が抵抗できないのを知ってて、
ワザと挑発するように、しつこく責め立てるビアンカに、
藍華は抑えがたき怒りを感じるが、
顎と髪をガッチリ掴まれているため睨み付けることもできず、
また、今、感情のまま軽率に行動を起こせば、りおん達を窮地に追いやるだけなので、
藍華は、ビカンカの手を外すこともできず、
ただ、悔しさで眉を振るわせ黙ってリエを見据えるのだった。

リエの姿をしっかり瞳に捉えた、この時はじめて、
藍華は、リエの様子がおかしいことに気付く。
勝利者である筈のリエの方が藍華より元気が無く、
藍華の顔をマトモに見れず顔を俯かせ、
上目遣いでチラチラとすまなそうに、
そして、ビカンカに甚振られる藍華を心配そうに視線を送っていたのだ。
藍華は、リエも他のデルモゲニィと同じように憎たらしい程の嗜虐の笑みを浮かべ、
囚われの身となった自分を蔑み見ていると思っていたため、
リエのこの反応が不思議でならなかった。

黒い布がかぶされた物が載せられたワゴンを押し、
リエと一緒に部屋に入ってきた黒デルモは、
その藍華達のやり取りに、目もくれず、そのワゴンを司令の机の側に置き、
また、AV機器を運んできた黒デルモも、
ビアンカに甚振られる藍華にさほど興味を示さず、
黙々と部屋の隅の壁に取り付けられた金属製の箱を開け、
中にある操作盤のスイッチを入れて天井から60インチほどの大きなモニターを出し、
更に、その操作盤とAV機器の配線を繋いでいった。
そして作業が終わると、2人の白デルモに向かい、姿勢を正し、一礼した。
「準備が整いました。」
「ありがとう。ご苦労様。下がっていいわよ」
「分りました。失礼します。」
リエだけを残し、先程入って来たデルモ達が部屋から出ていくと、
司令は両手を胸の前で組み合わせ、凛とした瞳で藍華を見据える。
「ミス・ビアンカ。ビデオの用意が出来ましたので、
ミス藍華と遊ぶのは、また後にして頂けるかしら?」
「ハッ!」
司令の命令が下るとビアンカは、藍華の耳元で、
「また後で、すぐにたっぷりと甚振ってやるから、脅えながら待ってな。」
そう言い残し、藍華から少し離れ、藍華の後ろ斜め位置に立った。

藍華は、ビアンカを横目で睨み付けてから、
司令と向かい合うように姿勢を良く座り直し、
そして、なるべく平静さを装って司令に視線を返した。
だが、その姿とは裏腹に、
藍華の心は、これから自分が受けるであろう責め苦に、
徐々に不安や畏れが膨らみ、かなり弱気になっていて、
司令の静かなる気迫に圧されていた。
「お待たせして、ゴメンなさいね。貴方達にちょっと見せたいものがあるの。」
司令は藍華にニッコリと微笑むと、
AV機器の前に立つ黒デルモにビデオデッキのスイッチを入れるよう合図した。

そのモニターに何が映し出されるか、藍華には大体予想できていた。
そこには、まず、検査だと騙され
恥ずかしいポーズを取っている藍華の姿が映し出される。
苦笑が部屋を満たし、藍華本人でさえ映し出された女の姿は滑稽に見えた。
次に服を全て脱がされ一糸纏わぬ姿で、
秘部はおろか菊花までも含む体の至る所全てを調べ尽くされる姿が映ると、
苦笑は嘲笑に変わり、
藍華は見る間に顔を真っ赤にさせていき、瞼をきつく閉じて下を向く。
『やっぱり、また見せられてしまうのね。何度見ても恥ずかしいわ。
いえ、今度は、男の人、しかも父親といえる社長と一緒に見るなんて、
この前より何倍も恥ずかしいわ。』
ビアンカは羞恥心に震えモニターを見ようとしない藍華の後ろ髪を掴み
無理矢理上を向かせ、更に、ナイフを喉に突き付けて吐きつける様に怒鳴った。
「下向いてんじゃないよ。しっかり見な!
アハハハ。それにしても、なんとも情けない格好だね。
そこの2人も目をつぶってないで、この女の無様な姿をよーく見てやりな。」
りおんと郷造の喉にもナイフが突き付けられる。
「やめて! 2人には手を出さないで!」
「だったら、お前から2人にちゃんとに見るように言いな。
『私の無様で恥ずかしい格好を見て』ってな。」
「クッ! り、りおん。社長。
…私の…無様で…は、恥ずかしい…格好を…み、見て。お願い。」
「プッ! 本当に言ったよ。この女。恥じらいってものが無いのかしらねぇ。
そら、お望み通り見せてやるよ! おい! 巻き戻してあげな!」
ビアンカはAV機器の前にいる黒デルモにそう命令すると、
藍華の顔にくっつきそうなほど顔を近付け高笑いした。
藍華は、そんなビアンカとは目も合わせず、
恥ずかしさや悔しさで目と眉は震わせながらも、
出来得る限り、気丈にモニターを見据えた。
これが藍華に出来る唯一の抵抗だった。

暫くそうしていると、モニターの映像が次の場面に変わる。
それは藍華とリエの戦いだった。
それを見て、藍華は、明らかな動揺を示す。
『そんな! こんな所まで。しかもこんな奇麗に…。私こんな醜態を晒していたの。
攻撃が酷く雑だわ、これじゃあ当たらないはずだわ。
しかも、負けを認めず、なんて無様なの。』
藍華が幼い少女に手も足も出ず良い様にやられていく様は、
今まで藍華に苦渋を舐めさせられていたデルモ達には、
これ以上ない最高の見世物だった。
デルモ達は皆、まるで藍華を倒したかのが自分であるかのように、
勝利の眼差しで無様な敗者を見下した。
次に藍華が尻を叩かれて泣き叫ぶ姿が映し出されると、
見っとも無さすぎる情けないその姿に大きな笑いが起こる。
藍華は全身をわなわなと震わせ、この上無いほどの恥じらいを感じた。
それは、尻を叩かれたことやその姿を笑われことにでなく、
尻を叩かれる行為に淫らに感じ喘いでいる自分の姿にだった。
言われなければ分からない程度のことで、他の人はそう見ていなかったが、
その時、自分の体に淫らな変化が起こってたことを知っている藍華本人には、
どうしてもそう見えてしまう。
『なんて浅ましい姿なの。これじゃあ、ただの変態だわ。』
あまりに恥ずかしい自分の姿に、藍華は心や体がズタズタに引き裂かれそうなだった。

パンツが膝に絡まったまま秘部を丸出しにして失神している藍華と、
泣きじゃぐる りおんが部屋から連れ出される所で映像が終わると、
司令は、嗚咽を漏らしているかのように体をヒクつかせている藍華に意地悪く尋ねた。
「ご感想は?」
「クッ…」
自分の惨めな姿をまざまざと見せ付けられた藍華は黙ったまま、
ただ悔しそうに司令を睨み付けるしかなかった。
司令はその姿に満足し、更に話を続けていく。
「貴方のデータを色々と見させて頂いたわ。非常に素晴らしい身体能力ね。
それにいくつもの格闘術を身に付けていて、しかも実戦慣れしている。
武器の扱いにも長け、射撃の腕前には目を見張るものがあるわ。
これじゃあ、黒デルモでは歯が立たないのも無理ないわね。
ハーゲン様が貴方を捕らえた時、白デルモの服を着せたのは礼を重んじただけでなく、
貴方のその力を見抜いてのことだったのでしょう。でも…、
白デルモやゴールデンデルモには
貴方と互角かそれ以上の実力を持つ者が何人もいるわ。
それに、貴方には精神的な弱さという決定的な欠点が見受けられる。
総合的に見て、我々が貴方に下した評価はABC評価で、Bプラス。
青デルモリーダー位だと判断しています。
それなのに、貴方は仲間やオルタネートメタルの力を借りたとはいえ、
何度も私達を退けられたのが不思議でならないわ。
強運に守られていたとしか言い様が無いわね。」
藍華は、だだ黙ってそれを聞いていた。
「それよりも不思議だったのが、瞳が緑色がかっていることを除けば、
貴方が身体的にも遺伝子的にも
普通の人間と何ら差異が見つからなかったことなのよね。」
藍華が、司令のその不可解な台詞に、とまどいを見せると、
司令は、黒い布で覆われたままの物が載るワゴンに近付き、その布を取る。
その下から、色々な機器が付いた透明で頑丈そうなガラスケースが現れた。
「そんな! それは!」
それを見た瞬間、藍華は、驚きで大きく口を開けて固まってしまう。
その箱には、なんと、藍華のオルタネートメタルで出来たビスチェが入っていたのだ。
「本物よ。貴方が昨日リエと戦っている頃には、
別働隊がすでに貴方の部屋から持ち去っていたわ。」
藍華はすぐにそれが本物であることが分かったが、
同時に違和感といくつかの疑問が頭に浮かぶ。
『何か、おかしいわ。いつもならある、生命が息づくような輝きが感じられない。
それにリエとの戦いで生死に関わるようなピンチに陥ったのに助けにこなかったし、
今も何の反応がない。
それにどうやってこれを持ち運んだの? 彼女の防衛本能が働かなかったの?』
「良く現状が理解できていない様ね。いいでしょう。ご説明してあげますわ。
この箱に取り付けてある機械はオルタネートメタルの活動を
強制的に停止させる磁場を発生させるの。
念のため、この建物全体にもその磁場を発生させてあります。
ハーゲン様はオルタネートメタルに非常に興味があられたようで、
それに関する膨大なデータが残されていたの。
この装置はそのデータを基に作り出したものよ。
でも、そのデータにも、
何故貴方だけオルタネートメタルを使うことが出来るのかまでは記されていなかった。
貴方の体の方に秘密があるかと思い、色々と調べさせて頂きましたが、
結局、それは分かりませんでした。
そこで、貴方に教えて欲しいの。どうして貴方だけがこの力を使えるのかを?」
司令の問いに、藍華は黙ったままだった。
それを教えることによって、何か恐ろしいことが起きるような気がしてならなかった。
そして、最後の望みの綱であったビスチェまで敵に奪われたことは、
自力による脱出の道がすべて絶たれたことを意味する。
藍華の戦意は完全に萎えていたが、「教えない」という藍華に残された
最後の抵抗をしているのだった
「分からないのかしら? それとも言いたくないのか? 黙っていたら分からないわよ。
いいわ。正直に話したくなるように、貴方のお仲間に手伝って頂きましょう。
奴隷の男共を何人かこの部屋に連れて来なさい。」
藍華は、司令のその言葉を聞き、激しく狼狽する。
『なんて恐ろしいことを考え付くの! この女。
りおんをその男達の慰み者にする気だわ。』
「待って! それだけはやめて! わかったわ。言うわ。言います。
私の知っていることを洗いざらいすべて話します!
ですから、お願いです。りおんには手を出さないで! お願いよぉ!」
司令は、うろたえる藍華を勝ち誇ったように見下ろした。
藍華の最後の抵抗は儚くついえ、藍華の中で敗北感がより強く濃くなっていくのだった。
「クスッ。 はじめから、そう言えばいいのよ。」





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